1-7 耐震・制震・免震

旧耐震・新耐震・現行耐震

日本では、1981年(昭和56年)5月31日までに建築確認を取った建物が『旧耐震基準』、1981年6月1日~2000年5月31日までに建築確認を取った建物が『新耐震基準』、2000年6月1日以降に建築確認を取った建物が『現行耐震基準』となっています。

『旧耐震基準』は、震度5程度の地震で、建築物が倒壊しない程度。

『新耐震基準』では、震度5強程度の中地震では殆ど損傷せず、震度6~7程度の大地震でも倒壊しない程度。

『現行耐震基準』では、新耐震基準に、①地耐力に応じた基礎構造の規定と地盤調査の義務化、②継手・仕口に関する仕様の規定、③耐力壁配置のバランス計算の義務化などが追加されています。

耐震構造

耐震構造は、柱、梁、壁など建物の構造自体の強度を高めることで、地震の揺れに「耐える」構造です。

制震工法や、免震工法に比べて、コスト(新築時なら50万~100万程度の追加)は安くすみます。ただし、耐えているだけなので、地震の揺れは伝わりますし、建物は人間と違って自己治癒能力はありませんので、繰り返しの地震でダメージが蓄積していきます。

制震構造

制振構造は、ダンパーなどのを組み込んで、地震の揺れを「吸収する」構造です。

免震工法に比べて、コストは安くすみます。地震の揺れにより建物が変形した際、制震装置も一緒に変形することで地震のエネルギーを受け流します。耐震工法と比べると、建物の揺れを抑えられます。建物の損傷が軽減されるため、繰り返しの地震にも有効です。

免震構造

免震構造は、建物と基礎の間に免震装置(積層ゴムなど)を設置することで、地震の揺れを「受け流す」構造です。

耐震工法や、制震工法に比べると、コスト(木造で150万円~400万円くらい)がかかります。免震装置があると、地震発生時にはゆっくり大きく揺れますが、家具の転倒は殆どありません。繰り返しの地震にも有効です。従来のものは縦揺れの地震に対応していなかったですが、最近では縦揺れに対応したものも出ているようです。また軟弱地盤では効果が見込めないようです。

地震の影響を小さくするという点では、一番良い工法だと考えられますが、お値段を考えると、制震工法も選択肢に入れざるを得ないでしょう。

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