1-4 暖炉、囲炉裏、薪ストーブ、ペレットストーブ
暖房器具は数あれど、暖炉、囲炉裏、薪ストーブ、ペレットストーブ等は、本物の火を燃やして暖を取る暖房器具です。
炎の揺らめきは、海の波と同じように、見ているだけでも飽きません。
不規則な動きは「1/fゆらぎ」とも言われており、主に精神に心地よく作用します。
暖炉の特徴、メリット、デメリット
暖炉の炉の部分(火を燃やす部分)や、煙を排出するための煙突は、建物と一体化しているのが通常です。その分、豪華で瀟洒な造りにすることも可能ですが、部屋のデザインと合わせるセンスが問われます。
基本は薪を燃やすため、薪を確保しておく必要があります。薪確保が面倒な場合は、ガスやバイオエタノールを燃料とする暖炉もありますが、「1/fゆらぎ」を感じたい場合は、薪の方が適しています。
暖炉はメンテナンスが大変で、安全性を保つためには、定期的な掃除や点検が欠かせません。薪の準備も必要です。
また、炎のすぐ近くは温かいものの、発生した熱の大部分は煙突から出て行ってしまうため、暖房性能自体はそれ程高くありません。
囲炉裏の特徴、メリット、デメリット
囲炉裏とは、日本家屋に据え付けられている暖房・調理を兼ねた設備のことです。日本風の暖炉と言えます。
最大のメリットは、料理がしやすい点が挙げられます。直火に鍋をかける事もできますし、炭火で焼くと遠赤外線効果で、餅だろうと、魚だろうと、食パンだろうと、何でも美味しくなります。アルプスでチーズをトロッとさせていたのも、西洋風の囲炉裏のようなものです。
火の調整も、慣れればそんなに難しくはありません。
暖房性能については、暖炉同様に火の近くは温まりますが、部屋全体を凄く温かくするわけではありません。
火を使う関係上、防火には注意を支払わなければなりません。また、排煙・換気対策が必須になるため、気密性の高い、現代の日本の住宅にそのまま据え付けるわけにはいかないという難点もあります。薪や炭を準備しておかなければなりません。
ただ、実際に燃えている火を間近に見ることが出来るので、「1/fゆらぎ」を感じられます。
薪ストーブの特徴、メリット、デメリット
同じ西洋風でも、暖炉との一番の違いは、その暖房効率にあります。薪ストーブは「輻射式」となっており、まず火室内の燃焼によりストーブ本体を暖め、ストーブの表面が高温になって、そこから発する遠赤外線が、身体や空気、周囲にある壁や柱、家具などに熱が届き、物自体をじんわりと暖めていくのです。
ストーブの種類によっては「輻射式」+「対流式」となっており、輻射熱で物を温めるだけでなく、空気を温めて、広い部屋を暖めてくれます。
薪ストーブの欠点は、薪を用意しなければならないことです。大量の薪が必要になりますし、その保管場所も必要になります。その辺で疲労にしても、乾かさなければなりませんし、購入する場合はそれなりに費用がかかります。
メンテナンスも必要です。定期的な清掃と、シーズンオフには煙突も掃除する必要があります。
ただ、特筆すべきなのは、そのスタイリッシュ性です。インドアでありながら、アウトドア性も感じられる。洗練されていながら、武骨さも感じられる。そんな一品です。
ペレットストーブの特徴、メリット、デメリット
薪ストーブは、薪を燃やしますが、ペレットストーブはペレット(木くず・おがくず・樹皮などを圧縮して固めた燃料)を燃やします。薪ストーブと同様に、ペレットを燃焼させることによって、輻射熱による遠赤外線で部屋をじんわりと暖めます。ペレット以外、燃やせないのが残念ですが、その分、薪を燃やすよりは灰の量が少なくなります。
また、ペレットストーブは設置のしやすさもメリットです。薪ストーブは煙突を必要としますが、ペレットストーブは、壁に穴を開けて排気筒をつければ設置することができます。
他三種に比べると、設置もしやすく、メンテナンスも比較的手がかかりませんし、設置費用も比較的安めなので、導入しやすいでしょう。
必ずペレットが必要になるのが難点と言えば難点です。