2-2 賃貸住宅管理業者に掛かる規制

2021年(令和3年)6月15日、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律のうち、管理業務に関する部分が施行されました。賃貸住宅管理業を行う者に、登録義務や重要事項の説明義務等が導入されるようになります。

法律改正

規制の対象者

管理戸数が200戸以上で、委託を受けて賃貸住宅管理業務(賃貸住宅の維持保全、金銭の管理)を行う事業を営もうとする者が対象となります。

賃貸管理業としての登録(賃貸住宅管理適正化法 第3条

賃貸住宅管理業者は、必ず登録しなければなりません。

①国土交通大臣に登録を申請します。
②登録費用は9万円。
③5年毎に更新が必要(更新料は現時点では未定)
④管理戸数が200戸未満でも登録は可能です。
⑤廃業する時にも届け出が必要です。

登録をしない時の罰則

もし、登録が必要な賃貸住宅管理業者が登録を行わずに、賃貸住宅管理業を行うと、代表者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはこれらの併科となる可能性があります。会社自体も50万円以下の罰金を科される可能性があります。

ただし、法律の施行日(2021年6月15日)から1年間は猶予期間とされていますので、その間に登録すればOKです。

 ※登録が猶予されるだけなので、その他の規制には従う必要があります。
賃貸住宅管理業者登録制度との違い

以前には、類似の「賃貸住宅管理業者登録制度」という任意で登録する制度がありましたが、その制度とは別の制度となりますので、旧時代に任意で登録していた業者も改めて登録を申請する必要がありますので、注意が必要です。

賃貸住宅管理業者の業務における義務(賃貸住宅管理適正化法 第10条~第27条)

『業務管理者の配置』賃貸住宅管理適正化法 第12条

事務所毎に、賃貸住宅管理の知識・経験等を有する者(業務管理者)を配置する必要があります。
営業所若しくは事務所に1名以上配置する必要があり、他の営業所・事務所との兼任は不可です。

【業務管理者の要件】

管理業務に関して2年以上の実務経験を持つ者又は国土交通省がその実務の経験を持つ者と同等以上の能力を持つと認めた者で、以下のいずれかに該当すること。

①国土交通大臣の認める登録証明事業による証明を受けている者(登録試験に合格し登録した者)

 ※登録試験は賃貸不動産経営管理士試験として(一社)賃貸不動産経営管理士協議会が、国土交通省に申請予定。

 ※令和2年度までに賃貸不動産経営管理士試験に合格し登録した賃貸不動産経営管理士で、国土交通省大臣が指定する講習を修了した者は、2 年以上の実務経験を持つ①とみなす。

②宅地建物取引士で、国土交通大臣が指定する管理業務に関する実務についての講習を修了した者

『管理受託契約締結前の重要事項の説明』賃貸住宅管理適正化法 第13条

具体的な管理業務の内容・実施方法等について書面を交付して説明する必要があります。
法定はされていませんが、ガイドラインでは、「賃貸不動産経営管理士」が重要事項説明をすることが望ましいと記載されています。

『管理受託契約の締結時の書面の交付』賃貸住宅管理適正化法 第14条

賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結したときは、管理業務を委託する賃貸住宅の賃貸人に対し、遅滞なく、必要事項を記載した書面を交付しなければなりません。

『財産の分別管理』賃貸住宅管理適正化法 第16条

管理する家賃等について、自己の固有の財産等と分別して管理する必要があります。

『証明書の携帯等』賃貸住宅管理適正化法 第17条

賃貸住宅管理業者は、その業務に従事する使用人や従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければなりません。
また、業務を行うに際して、委託者その他の関係者から請求があったときは、前項の証明書を提示しなければなりません。

『帳簿の備付け』賃貸住宅管理適正化法 第18条

賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え付け、委託者ごとに管理受託契約について契約年月日等の事項を記載し、これを保存しなければなりません。

『標識の掲示』賃貸住宅管理適正化法 第19条

賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める様式の標識を掲げなければなりません。

『定期報告』賃貸住宅管理適正化法 第20条

業務の実施状況等について、管理受託契約の相手方に対して定期的に報告する必要があります。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の規定

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