1-7 民法改正で、消滅時効期間がどのように変わるのか?
民法改正後は、職業別の短期消滅時効期間を定めている現行民法170条~174条は削除されます。また、商法522条の商事時効も削除されます。
改正前 |
①瑕疵を知ってから1年。(民法566条、570条) ②引渡しから10年。(民法167条) |
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改正後 |
①「種類」または「品質」に関して、契約不適合を知った時から1年。(改正民法566条) ※契約不適合を知ってから1年以内に通知をしていても、そのまま権利行使をしなかった場合、改正民法166条の消滅時効に掛かると考えられます。 ②契約不適合を知った時から5年(改正民法166条1項1号)、契約不適合について、債権者が権利を行使することが出来る時から10年(改正民法166条1項2号)が消滅時効。 |
改正前 |
①債権者が権利を行使することが出来る時(客観的起算点)から10年(民法167条) |
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改正後 |
①債権者が権利を行使することが出来ることを知った時(主観的起算点)から5年。(改正民法166条1項1号) ②債権者が権利を行使することが出来る時(客観的起算点)から10年。(改正民法166条1項2号) ③「債権」または「所有権」以外の財産権は、権利を行使することが出来る時から20年。(改正民法166条2項) ④「人の生命」または「身体の損害による損害賠償請求権」は権利を行使することが出来る時から20年。(改正民法167条) |
備考 | 「債権又は所有権以外の財産権」とは、地上権や永小作権、地役権等の物権があります。 |
改正前 |
①被害者(法定代理人)が損害および加害者を知った時から3年(民法724条) ②不法行為の時から20年(民法724条) |
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改正後 |
①被害者(法定代理人)が損害および加害者を知った時から3年。(改正民法724条1項) ②「人の生命」または「身体の損害」による不法行為は、被害者(法定代理人)が損害および加害者を知った時から5年。(改正民法724条の2) ③不法行為の時から20年。(改正民法724条1項2号) |
改正前 |
①滞納からから5年(民法169条) |
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改正後 |
①債権者(賃貸人)が権利を行使することが出来ることを知った時から5年。(改正民法166条1項1号) ②債権者(賃貸人)が権利を行使することが出来る時から10年。(改正民法166条1項2号) |
改正前 |
①賃貸人が何も請求をしていない場合では、賃貸人が物件の返還を受けた時から1年。(民法600条、621条) ②賃貸人が裁判上、または裁判外で請求をしている場合では、賃貸人が物件の返還を受けた時から10年。(民法167条) |
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改正後 |
①賃貸人が何も請求をしていない場合では、賃貸人が物件の返還を受けた時から1年。(改正民法600条、621条、622条) ②賃貸人(債権者)が裁判上、または裁判外で請求をしている場合では、権利を行使することが出来ることを知った時から5年。(改正民法166条1項1号) ③賃貸人(債権者)が裁判上、または裁判外で請求をしている場合では、権利を行使することが出来る時から10年。(改正民法166条1項2号) |
改正前 |
①賃借人が部屋を明け渡したときから10年。(民法167条) |
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改正後 |
①賃借人(債権者)が権利を行使することが出来ることを知った時から5年。(改正民法166条1項1号) ②賃借人(債権者)が権利を行使することが出来る時(物件を返還した時)から10年。(改正民法166条1項2号) |