1-1 不動産業(宅建業)を開業する時に必要なこと

開業

資金の準備

開業資金が必要です。一般的には、業者団体へ加入するため、入会金および会費。保証協会の入会金および会費。弁済業務保証金分担金。など掛かります。

業者団体や保証協会の費用については、地域や団体によって、まちまちです。弁済業務保証金分担金は全国同一で60万円となります。併せると、安いところで90万円くらい。高いところでも200万円はしないと思います。

事務所や、設備を整える費用も必要です。こちらについてはピンキリです。設備については固定電話、携帯電話、FAX、パソコンは最低限あった方が良いでしょう。

諸々考えると、初期費用としては、最低300万円くらいは用意した方が良いでしょう。

もし、業界団体に所属しない場合は、弁済業務保証金分担金ではなく、営業保証金を法務局に供託することになりますので、最低1000万円以上は必要です。

宅地建物取引士の準備

代表者でなくとも構いませんが、一つの事務所に、最低一人は宅地建物取引士資格を持つ従業員が必要です。

もし、自らで資格取得しようとする場合は時間が掛かります。
毎年10月に行われる「宅地建物取引士試験」に合格した上で、実務経験がない場合は、別の宅建業者の従業員として「実務経験を2年積む」か、実務経験の代わりとなる「宅建登録実務講習」を修了し、その後、受験した試験地の都道府県で「宅地建物取引士資格登録」をした後、「宅地建物取引士証の交付申請」を行い、「宅地建物取引士証を交付」してもらって、初めて準備が整います。

なお、宅建業に従事している従業員の方については、「宅地建物取引士試験」が5問免除となる「宅建登録講習」というのを受けてから、試験に臨むと多少合格率が上がります。(令和元年の合格率17%、登録講習修了者の合格率22.9%)

既に「宅地建物取引士試験」に合格しており、1年以上経過している場合は、宅地建物取引士証の交付にあたり「法定講習」も受講する必要がありますので、なかなか大変です。

なお、1つの事務所に勤務する宅建業の従事者5人につき、1人の専任(常勤で宅建業に専従)の宅地建物取引士の設置が必要ですので、従業員が多い場合は、その分、多くの取引士を準備しなければなりません。

 参考:宅建試験|不動産適正取引推進機構

 参考:宅建登録講習|日建学院

 参考:宅建登録講習|LEC東京リーガルマインド

 参考:宅建登録実務講習|不動産流通推進センター

 参考:宅建登録実務講習|日建学院

 参考:宅建登録実務講習|LEC東京リーガルマインド

取引士

事務所の準備

宅地建物取引業の免許を受けるには、宅建業を営む事務所を設置する必要があります。事務所は、継続的に業務を行うことができる施設で、かつ独立性が保たれていることが必要です。

自宅の一部で開業する場合は、自宅と事務所の入口が別であることや、自宅と事務所が壁などで区切られていることなどを条件に許可される場合もあります。免許権者に問い合わせてみましょう。

法人の場合は会社設立の手続き

宅地建物取引業は、個人事業としても、法人事業としても営むことが可能です。
法人設立は多少手間が掛かり、設立費用も掛かります。また、会社法の規制を受けることになりますが、法人事業者のほうが顧客や銀行から信用を得られやすいというメリットがあります。また、個人事業の場合は自分限りの宅建業免許のため、子供等への免許の相続は出来ません。

法人設立が面倒な場合は、司法書士に依頼しましょう。

設立

宅建業の営業免許を申請

個人営業、法人営業を問わず、国土交通大臣または都道府県知事の宅建業免許を取得する必要があります。

一つの都道府県内で営業する場合は、都道府県知事免許が、複数の都道府県に跨って営業する場合は、国土交通大臣免許が必要です。

県知事免許の申請費用は、33,000円。国土交通大臣免許の申請費用は90,000円掛かります。

保証協会への入会または法務局への供託

宅建業を営業するに当たり、保証協会への入会(弁済業務分担金の納付)するか、営業保証金を法務局に供託する必要があります。これらは、宅建業者と消費者との間でトラブルがあった場合の預託金のようなものです。

(1)保証協会への入会

全国には、公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会と、公益社団法人 不動産保証協会の2つの保証協会があります。

保証協会に加入する場合は、営業保証金1,000万円を法務局に供託する必要はなくなりますが、代わりに弁済業務分担金を保証協会に納める必要があります。

本店につき60万円。支店1つごとに30万円を納める必要があります。

なお、全国宅地建物取引業保証協会はハトのマークの宅建協会と、不動産保証協会はウサギのマークの全日本不動産協会と表裏一体の組織となりますので、保証協会への加入と同時に、各団体への加入も必要になります。

各団体への入会金は、全国一律というわけではありませんが、弁済業務分担金も含めて、ざっと100万円以上は必要になりますので、資金は十分に用意しておきましょう。また、団体ごとにサービスも違いますので、入会案内を良く聞いてから決断するようにしましょう。

不動産の四方山話1-3『不動産会社の所属団体

(2)法務局への供託

保証協会に加入しない場合、本店につき1,000万円。支店1つごとに500万円を、法務局に供託する必要があります。

開業

おめでとうございます。お仕事頑張ってください!

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