1-2 一括借り上げでの運用

〇年、一括借り上げで、家賃保証に注意

一見すると、家賃の保証もしてくれて、面倒も無いという、リスクゼロの大変良い資産運用に思えますが、実際はそうとばかりは限りません。

一括借り上げの制度とは、土地を持っている人が、自費(ローン)でアパートやマンションを建て、その建物を一括で建築会社に貸し、実際の入居状況に関わらず、満室時の賃料の〇%を保証してもらうという制度です。安定的に収入を得られるように感じてしまいがちですが、少し考えると、幾つかおかしな点があることに気がつきます。

建築会社はアパートを一般の人に転貸して、家賃収入を上げて、その中から一定の額を家賃としてオーナーに支払います。新築時は入居率も良いので問題はありませんが、月日が経ってアパートが古くなった時、入居率は当然のように落ちていきます。最初に取り決めた家賃を払い続けると、建築会社は赤字になってしまいます。

その場合、建築会社は約束したことだからといって、自らが赤字を背負ってでもオーナーに決められた家賃を支払うでしょうか?

まず払いません。

一括借り上げに注意

建築会社は、物件を満室にするため、また、自社の利益を確保するため、【家賃の減額】=【オーナーへの保証金の減額】を求めてきます。そして、オーナーが保証金の減額に応じないと、借り上げ契約の解除をちらつかせます。

この交渉は、オーナーにとって困難を極めます。借り上げの契約書には、保証金額の変更規定がありますし、家賃の減額請求は借地借家法上も認められているものだからです。
そして、一番重要な点は、建築会社は建物を建築した時点で既に利益を確保しているという点です。建築会社には、無理に借り上げ契約を続ける必要性がないので、話し合いがまとまらずに借り上げ契約が解除されても、全く問題がないのです。

一方、オーナーに取ってみれば、借り上げ契約の解約は死活問題です。今まで建築会社に任せていたことを、全て自分でやらなければならないからです。急に別の宅建業者を探すのも難しいでしょう。自らの努力で入居率も上げなければなりませんので、時間と労力が相当掛かります。立地が良い物件、またはニーズが多い物件なら、多少、建物が古くなっても借りてくれる人がいますので解約の影響は少ないと思いますが、借主ニーズが少ない地域の場合、結局は建物を手放すことになりかねません。

結論としては、業者のセールストークを信じるだけでなく、自分で試算して、やるか、やらないか決定すべきだと思います。

なお、借り上げ期間中の建物修繕費も大家にとっては大きな負担となります。借り上げ会社は事ある毎に、大家に修繕費を請求してくるので、それも予め計算に入れてお句必要があります。

inserted by FC2 system