1-6 直接取引(抜き行為)をしてはダメ

抜き行為

直接取引(抜き行為)とは

不動産の取引において、宅建業者に依頼して仲介行為(相手方との条件や値段の折衝等)をしてもらっていたのに、売買契約の直前になって売買契約を断って、仲介業者を入れずに売主と直接取引をしたり、別の宅建業者に仲介をしてもらったりする行為を指します。

直接取引(抜き行為)をする理由としては、仲介業者を挟まずに取引することで仲介手数料を浮かせるためだったり、当初の仲介業者の対応に不満を抱いていたり、別の仲介業者からの勧誘を受けたり、というものが挙げられます。

直接取引(抜き行為)をしてはダメな理由

仲介業者は、仲介行為をすることを業として生計を立てています。

仲介業者が売買契約を成立するために尽力し、売買契約が成立直前になったにも関わらず、依頼者が売買契約の成立を故意に妨げることは信義則に反しています。

故意に条件成就を妨げたということで、民法130条に基づき約定の仲介手数料を満額請求される可能性があります。もしも、別の仲介業者に頼んで仲介してもらっていた場合には、仲介手数料を二重払いしなければならなくなります。

また、売買契約直前まで取引が進んでいない場合であっても、売買契約成立の寄与度に応じて、仲介手数料を請求される可能性があります。

不動産適正取引推進機構のHPへ
報酬請求が認められたもの
東京地裁H30.12.18 媒介業者を排除して直接取引にて売買契約を締結した売主に民法第130条に基づく媒介報酬の支払いが命じられた事例
東京地裁H30.11.29 媒介業者を排除して第三者のためにする契約を行った売主と買主等に対する媒介業者の賠償請求が認められた事例
岡山地裁H15.1.15 報酬上限の80%が認められた事例
東京地裁H24.11.16 契約成立に寄与した割合が5割とされた事例
東京地裁H25.7.3 媒介手数料の全額が認められた事例
東京地裁H28.8.10 媒介契約は成立しているとして請求がほぼ認容された事例
報酬請求が否定されたもの
東京高裁H30.4.16 売主が媒介契約を解除して直接取引したことに正当な理由があるとして媒介業者の報酬請求の訴えを棄却した事例
東京高裁H14.10.13 媒介業者を故意に排除したとは認められなかった事例
東京地裁H22.10.15 媒介契約の成立が認められなかった事例
東京地裁H24.12.19 媒介契約の成立が認められなかった事例

民法の規定

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