1-1 住宅用の借地として運用

運用

使用していない土地は、税金を取られるだけでなく、場合によっては草取りなどの管理する必要も出てきますので、完全に負の財産と言えます。
将来的に利用することが無いのであれば売却してしまった方が明らかに得なのですが、先祖伝来の土地で、感情的にに売りたくないという場合は、その活用を考えてみましょう。

借地として他人に貸し出して、借地料を取るようにすれば、税金+αの収入が見込めるようになります。

住宅用の借地として運用することのメリット

・アパートを建てて賃貸事業を営むのと異なり、初期投資が不要なので、借金する必要がありません。

・アパートでの賃貸事業や、貸し駐車場の運営と違って、ランニングコストがほぼ掛かりません。

・借地は一般的に長期間貸し出すことになりますので、長期的に安定した収入が見込めます。

・定期借地契約にすれば、期間経過後、確実に土地を返還してもらうことが出来ます。

・土地の評価が下がる為、相続税対策になります。

・借地人が住宅を建築する場合、固定資産税、都市計画税が軽減されます。

・ローリスク、ローリターンの運用方法であるため、リスクを取りたくない場合に向いています。

住宅用の借地として運用することのデメリット

・利回りが低いです。場所にもよりますが、地代は固定資産税(軽減後)の3倍~5倍程度と言われています。(周辺環境によっては、もっと高くなる場合があります)

・資産(土地)の流動性が減ります。急に土地を売りたくなったとしても、借地人を自由に退去させられるわけではありません。どうしても売らなければならない場合、借地人がいる状態での売買(いわゆる底地売買)となるため、更地評価の5割弱でしか売却できない可能性が高くなります。

・借地契約を長期的に管理(地代の入金状況、地代の値上げ・値下げ等)していかなければなりません。

・田舎では土地を借りたいという希望者が少ないので、賃借人を探しづらい面があります。

・土地の分割や、処分(売却)が難しいので、相続が発生してしまうと面倒になります。

居住用の借地で利用できる借地契約の種類

普通借地契約
契約期間 30年以上
賃借人の意思による解約 ・期間満了時に更新請求しない時。
・賃貸借契約書の解約条項に基づいて。
・賃貸人との合意。
賃貸人の意思による解約 ・期間満了時に、賃借人が更新請求した時でも、正当事由が認められれば解約できる。
・賃借人との合意。(賃貸借契約書に賃貸人からの解約の特約があったとしても、賃借人が争った場合、当該特約は無効となります。)
更新後の期間 ・一回目の更新後は20年以上。二回目からは10年以上。
特徴 ・普通の借地契約です。
・賃借人が借り続けたい場合、期間が到来しても、土地を返してもらえない可能性が高いです。
・賃借人に建物買取請求権があります。
一般定期借地契約
契約期間 50年以上
賃借人の意思による解約 ・期間満了時。
・賃貸借契約書の解約条項に基づいて。
・賃貸人との合意。
賃貸人の意思による解約 ・期間満了時。
・賃借人との合意。(賃貸借契約書に賃貸人からの解約の特約があったとしても、実際の解約時に賃借人が争った場合、当該特約は無効となります。)
更新後の期間 ・更新はありません。再契約は可能です。
特徴 ・事業用だけでなく、一般居住用でも使用可能な契約です。
・賃借人に建物買取請求権がありません。

その他

私見を述べるならば、将来的にも使う予定のない土地であれば、やはり売却した方が得であると考えます。

住宅用の借地の場合、少なくとも30年以上は契約関係が継続しますし、半世紀を越えることも珍しくありません。管理に手間が掛からないとは言え、地代が滞る場合など、面倒が起こる可能性も十分に考えられます。

また、バブル期のように将来的に土地の価格が爆発的に上昇する可能性があるかというと、少子化が進んでいる現在の情勢では、日本国内の殆どの地域で、その可能性がないと思います。

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