1-9 空き家の処分

親から相続した土地と家を処分したいが、まずは何処から始めたら良いのか。その解説になります。

空き家

必要書類を出来るだけ集める

専門家に相談するためにも、まずは土地や家に関する下記の書類を集めます。無い場合もありますので、その場合は、あるだけ集めます。

登記事項証明書(登記簿謄本)

現在の不動産の権利者や、借入状況などを調べることが出来ます。
法務局で取得するか、インターネットで取得することが出来ます。いずれも有料です。

登記済証(権利証)または登記識別情報

不動産を購入した時に送られてきますので、実家の金庫等に入っていると思います。登記識別情報の場合は12桁の符号ですので、それが分かれば問題ありません。

紛失している時の手続きとしては「事前通知」「資格者代理人による本人確認情報の提供の制度」がありますので、詳細は司法書士に相談してください。

固定資産税の納付書

固定資産税が幾らなのか判明します。資料が何も見つからなければ、市や町に「固定資産税課」みたいな部署があると思いますので、そこに相談してみてください。

公図

相続した土地の形が分かる図面です。売却の相談に使います。

登記事項証明書と同じように、法務局で取得するか、インターネットで取得することが出来ます。いずれも有料です。

建築確認図書

家を建てる前に建築確認申請をして、その内容が建築基準法に適合していることを確認してくれた書面の「建築確認済証」。建築が終わった後に建築確認通りに出来ていることを確認した「検査済証」があります。

実家の金庫等に入っていると思います。

なお、「建築確認済証」については、凡そあると思いますが、「検査済証」については古い建物の場合、無いこともあると思います。(紛失ではなく、そもそも完了検査を受けていないため) 

相続登記が完了しているかどうかを確認する

現在、相続登記は義務ではありません。(令和6年4月1日からは義務)が、他者に売却するには遅かれ早かれ相続登記が必要となります。

そのため、まずは相続登記が問題なく実施できるかどうかを確かめる必要があります。

登記名義人が親で、相続人が自分一人ということが確定しているのであれば相続登記は簡単に出来ますが、登記名義人が親ではなく、祖父、祖母の世代の場合、他にも相続人がいることも考えられ、その場合、相続登記は手間が掛かるようになります。詳細は登記の専門家である司法書士に相談することになります。

建物の登記があるか確認する?

昔の建物の場合、未登記ということもあります。建物の登記事項証明書は取れません。固定資産税の納付書の「家屋番号」の欄を見て、未登記かどうか判明することもあります。

未登記建物がある場合、買主がローンを組めないことや、買主の権利を保護しづらいことから、売却はしづらくなりますので、建物を取り壊すか、登記を申請するか、何らかの対処が必要になります。

登記をする場合、まずは「表題登記」それから「所有権保存登記」となります。「表題登記」は土地家屋調査士の分野。「所有権保存登記」は司法書士の分野になります。なお、いずれも有料です。

処分の方法を決める

「自治体への寄付」は原則として受け付けてくれませんので、「売却」、「賃貸(運用)」、「自分で活用」の3種類になります。

売却の場合

専門家である宅建業者に相談します。また、解体も考えるのなら、解体業者(宅建業者が紹介してくれるかも)にも相談して、どのくらいの費用が掛かり、どのくらいの手取りになるのか試算します。

市町で空き家バンクを運営している場合もありますので、市町に相談するのも有効となる場合があります。

ただし、一つ念頭に置いておかなければならないのが、全ての物件が売却できるわけではないということです。主に立地が重要ですが、あまり需要のない地域や、建築制限がある地域だと、値段をかなり下げたり、売却条件を整えないと、売却そのものが非常に厳しくなる可能性があります。

売買の基礎知識2-4『良い宅建業者(不動産会社)の選び方

賃貸の場合

専門家である宅建業者に相談します。また、リフォームやイノベーションも考えるのなら、建築会社(宅建業者が紹介してくれるかも)にも相談します。また、駐車場等にするという選択肢もあります。いずれにしても立地は重要となりますし、経費、賃料収入などを試算する必要があります。

自分で活用の場合

自分の別荘にするのか、荷物置き場にするのか等を考えますが、相続物件の所在地によっては、無駄が多くなりますのであまり有用ではないでしょう。

総論

空き家を売却するには、まず資料を集め、その後、専門家に相談。

時間も掛かる可能性があります。

また、どのような処分方法にするにしても、費用は掛かります。

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