1-10 「リバースモーゲージ」と「リースバック」
「リバースモーゲージ」も「リースバック」も、高齢者が老後の生活資金を得るための手段の一つです。
高齢者が価値のある不動産を所有している場合で、現金資産が無い場合、従来は不動産を売却して、安い物件や、賃貸物件に引っ越すしかありませんでした。
しかし、現在は住み慣れた不動産に居住したまま、生活資金を手にする手段が出来ています。
「リバースモーゲージ」とは
高齢者向けの金銭貸付制度です。
銀行や信託銀行、地方銀行、信用金庫などの一部の金融機関のほか、自治体が福祉サービスの一環として扱っています。
高齢者は自己が所有する不動産を担保にして、金融機関から生活資金等の融資を受けます。定期的に定額の融資を受ける「年金型」、まとまった金額を一括して借りる「一括融資型」、決められた金額の範囲で随時利用する「自由融資型」などがあります。
融資を受けても、不動産の所有権を変更するわけではないので、高齢者は月々の返済(利息分のみの返済の場合や、生存中は返済不要のケースあり)を行えば、そのまま不動産に住み続けることが出来ます。
そして、高齢者が死亡する等、金銭消費貸借契約の終了時点で、担保となっている不動産を処分し、元金を一括返済することになります。また、担保不動産を売却して返済した後に債務が残った場合、相続人に請求が行くタイプ(リコース型)と、相続人に請求が及ばないタイプ(ノンリコース型)がありますあります。
「リバースモーゲージ」のメリット
自宅に住み続けながら、自宅を担保に融資を受けられることが最大のメリットです。
「リバースモーゲージ」のデメリット
利用できる対象者や、対象不動産に制限があります。
遺族に不動産を遺産として残すことが出来ません。
「リースバック」とは
高齢者は所有する不動産を事業者に売却し、同時に賃貸借契約を締結します。
売買契約をするので、不動産の所有権は事業者に移転しますが、賃貸借契約に基づき、月々の賃料を支払うことで、そのまま不動産に住み続けることが出来ます。
一定期間の経過後、高齢者が不動産を買い戻す取り決めをすることもあります。
「リースバック」のメリット
物件を売却してしまうので、相続問題の簡易化や、空き家問題の防止が図られる。
「リースバック」のデメリット
事業者が不動産を買取るため、通常の売買価格よりは低くなる可能性がある。
「リースバック」の注意点
不動産の買取価格が相場に比べて安すぎないかを良く確認しましょう。
賃貸借契約の条件、賃料については良く試算しましょう。