3-14 電柱の説明義務

Q【買主】

新築マンションを購入しました。

売買契約時はまだ建築中だったので気が付かなかったのですが、引渡しを受けて、確認したところ、バルコニーの前に電柱が建っており、景色が遮られることが分かりました。

そのような説明は不動産会社から受けていません。売買契約の解除や、損害賠償請求が出来ますか?

電柱
A

売買契約の解除が認められるか

ただ、電柱があるということだけをもって、売買契約の解除が認められることはないと考えられます。

しかし、当該マンションが眺望を積極的に売り文句にしていたにも関わらず、一般的な人の感性で、眺望が大幅に遮られていると感じられるような場合は、説明義務違反の債務不履行や、消費者契約法により売買契約の解除が認められる可能性があります。福岡高裁H18.2.2では認められています。

損害賠償が認められるか

売買契約の解除と同じですが、説明義務違反の債務不履行が売主業者に認められる場合なら、損害賠償請求が認められる可能性があります。

現在の民法415条では、債務者に帰責事由がある場合のみ、損害賠償請求が認められますので、売主業者が電柱の存在を知らなくても仕方がない事情がある場合は、認められない可能性があります。

なお、損害賠償請求が否定された判例もあります。(東京地裁R2.1.29)
重説に「電柱や電線については現地で確認してください」と書かれており、買主もそう説明されていたこと。建築完了前にも容易に電柱を発見できたこと。そもそも当該バルコニーからの眺望を売り文句にしていないこと。等の理由により、棄却されています。

不動産適正取引推進機構のHPへ
東京地裁 R2.1.29 新築マンションのサービスバルコニー前の電柱の存在の説明を怠ったとする買主の損害賠償請求が棄却された事例
福岡高裁 H18.2.2 電柱などによる眺望に関する説明義務違反を理由に売買契約の解除が認められた事例

改正 民法の規定

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