4-5 媒介契約書の非交付と仲介手数料の支払い義務

Q【買主】

土地を購入する契約を締結しました。

仲介業者から、売買代金の約3%の仲介手数料を請求されましたが、「媒介契約書」という書類を交付されていなかったため、仲介手数料が発生することや、具体的な金額については何一つ説明を受けていませんでした。

「媒介契約書」という書類を交付していないことは、法律違反であるとも聞きましたが、「媒介契約書」を貰っていなかったことを理由に、仲介手数料の支払いを拒むことが出来るものでしょうか。

媒介契約書の非交付と仲介手数料
A

宅建業法違反について

もし、宅建業者が媒介契約の成立を主張する場合、宅建業者は宅建業法34条の2に違反することになりますので、原則としては法律違反ということになります。

媒介契約の成立についての考え方

宅建業法違反の事実と、媒介契約の成立とは原則として無関係です。

媒介契約は準委任契約と言われていますので、口頭だけでの約束でも成立します。つまり、購入者が宅建業者に不動産購入に係る媒介業務を依頼し、宅建業者がその依頼を受けていた場合、媒介契約として成立してしまいます。

媒介契約が成立していると認められる場合、購入者は、仲介業者からの請求額の満額(宅建業法で定める報酬額の上限)ではないにしても、当該仲介業者が売買契約の成立に寄与した分に応じて、仲介手数料を支払わなければならないと考えられます。

買主が媒介業務を依頼していない場合

買主が媒介業務を依頼していないとしても、仲介を行った宅建業者が当該取引に関して、一方的に売主の側に立つだけでなく、「客観的に見て非委託者(買主)のためにする意思を持って」媒介業務を成していた場合、商法512条の規定に基づいて、買主は、宅建業者からの請求額の満額(宅建業法で定める報酬額の上限)ではないにしても、仲介業者が売買契約の成立に寄与した分だけ、仲介手数料を支払わなければならない可能性があります。

例えば、宅建業者が買主のために、買主の主張する価格や、契約条件の交渉に尽力してくれた場合等がこれに当たります。

不動産適正取引推進機構のHPへ
2019年春号 取引当事者の一方のみから仲介の委託を受けた宅建業者の他方の当事者に対する報酬請求権の有無
不動産流通推進センターのHPへ
2007年9月掲載 媒介契約書を作成しないまま直接契約が行われた場合の報酬請求

商法の規定

宅建業法の規定

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