3-12 重要な事項について、口頭で説明していると主張された

Q【買主】

土地の買主です。

仲介業者を通じて、一般の売主から、土地を購入しました。その後の調査で判明したのですが、前面道路に水道管の本管がないため、遠くの道路から引き込んでこなければいけないことが判明しました。工事費用が想定よりも相当高くなります。

重要事項説明書を確認したところ、前面道路配管に「 ○ 」がついていましたが、仲介業者は「前面道路に水道管の本管がないことは口頭で説明している筈です」と言って、非を認めてくれませんし、工事費用の負担も考えてくれていないようです。

口頭でも説明を受けた記憶はありませんが、言った言わないの争いになってしまっています。仲介業者の責任はないのでしょうか?

売主に責任は求められますか?

それとも、自分で工事費用を負担するしかないのでしょうか?

理不尽
A

重要事項説明書の内容を再確認

重要事項説明書には、水道管のことについて記載する項目があります。また、工事に多額の費用が掛かる場合には、その旨も説明することになっています。

まずは、重要事項説明書の中の、水道管のことが書かれている項目、最終ページ近くの「その他の重要な事項」がまとめられている項目。添付資料などを確認し、水道管の工事費用等に触れている項目がないことを確認する必要があります。

仲介業者の責任は? 口頭による説明の有効性

宅建業法35条に該当する重要な項目について、仲介業者は口頭のみで説明することは許されていません。必ず、重要事項説明書に記載する必要がありますので、記載が無い場合は宅建業法違反に該当します。
そして、水道管の設置に多額の工事費用がかかることは、宅建業法35条の項目に該当すると考えられますので、その場合、幾ら口頭で説明していると仲介業者が主張したとしても、宅建業法違反に該当する可能性があります。

ただし、宅建業法違反と、損害賠償責任の発生はイコールではありませんので、もし本当に仲介業者が口頭による説明を行っており、買主がそれを理解した上で購入した場合であれば、仲介業者の損害賠償責任は否定されることになると考えられます。

今回のケースでは、仲介業者は口頭による説明を行ったと主張し、買主は聞いていないと主張していますので、まさしく言った言わないの争いです。
裁判になった場合、最終的には裁判官の判断に従うしかありませんが、一般的には、書面に記載されていない事柄を仲介業者が説明したと認定されるとは思えません。それっぽい資料があるなら別ですが……。

仲介をした宅建業者が所属する団体や、行政、弁護士などに相談して、トラブルを解決していきましょう。

不動産の四方山話1-4『言った言わない戦役

不動産の四方山話1-3『不動産会社の所属団体

売主への責任追求は?

売主への責任追及の可否については、売主が、前面道路に水道管の本管が入っていないことを知っていたか否かということもありますが、どちらであったにせよ、売主は仲介業者に仲介(買主への説明)を依頼している筈ですので、仲介業者が事実を知っていた以上、売主の責任を問うのは難しいと考えられます。

宅地建物取引業法の規定

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