2-8 中古住宅を買ったが給湯器が壊れていた。修理費用を請求することが出来るか?

Q【買主】

買主です。

売主の宅建業者から、築15年の中古住宅を購入しましたが、給湯器が壊れていてお湯が出ませんでした。売買契約書の中で、契約不適合責任は引き渡しから2年以内の通知義務があると特約されていましたので、売主業者に対して「給湯器を交換して欲しい、または修理費用を負担して欲しい」と申し出をしましたが、売主業者は「契約不適合責任を負っているのは建物だけであり、設備である給湯器は対象外なので費用負担は出来ません」と主張して、修理費用を支払ってくれません。

給湯器については、契約不適合責任の対象外なのでしょうか? 売主業者に負担してもらうことは出来ませんか?

給湯器
A

売主業者の契約不適合の義務

宅建業者が売主となる場合、売買対象の不動産については、民法どおりの契約不適合責任を負うか、宅建業法40条に定めるとおり、引き渡しから2年以上の通知期間を設ける特約をつけて契約不適合責任を負うかの、どちらかしかありません。
この宅建業法40条の規定は、強行規定となっていますので、当事者間の合意があっても、その義務を変更することは出来ず、宅建業者に有利なように緩和することも出来ません。

つまり、給湯器が建物の一部という解釈であるならば、宅建業者は業法上または民法上の契約不適合責任を負わなければなりませんし、給湯器が建物以外(ただの設備)であれば、宅建業者は売買契約書で特約したとおりの責任を負うことになります。

中古住宅の給湯器は建物か否か

建物に組み込まれて建物を構成するための要素の一部となっている設備は、原則として建物として扱われると言われていますので、本件における給湯器は建物の一部と言えます。

一方、建物に組み込まれていない設備(取り外し可能なエアコンや、電灯)等については、建物扱いされずに設備であると考えられます。

 参考:付帯設備についての瑕疵担保責任|不動産流通推進センター

契約不適合責任に基づく売主業者への請求

通知期間内であれば、買主は売主宅建業者に契約不適合責任を理由に、民法や特約に基づいて、補修請求や、代金減額請求請求等をすることが出来ます。

ただし、引渡し時には給湯器が問題なく動いており、半年程経ってから壊れたという場合には、請求できない可能性があります。なぜなら、中古住宅の売買の場合、中古住宅としての品質を備えていることが契約の内容になっていると考えられますので、引き渡した時点でその性能を有していた場合、「契約内容に適合している」と判断される可能性があるからです。

なお、一般の方が売主の場合で、契約不適合責任を免責する特約がついている場合、原則として給湯器の修理費用の請求は出来ません。

不動産適正取引推進機構のHPへ
東京地裁H26.12.9 給湯器の故障で瑕疵担保責任が認められた事例

民法の規定

宅建業法の規定

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