2-1 買った土地が軟弱地盤だった。売主や仲介業者に責任追及できるか?

Q【買主】

買主です。

マイホームを建てるために土地を購入しましたが、地盤調査を行った建築業者(ハウスメーカー)から、「軟弱地盤なので地盤改良が必要であり、工事費用が結構掛かりますよ」と言われました。

売主からも仲介業者からも、軟弱地盤であるとの説明は受けていませんし、もし軟弱地盤だと知っていたら、この土地を購入することはありませんでした。売主、または仲介業者に地盤改良費用の負担をしてもらうことが出来ないのでしょうか?

軟弱地盤
A

売主への責任追及は?

売主が過去の地盤調査等の結果から、当該土地が家を建築できないほどの軟弱地盤であると知りながら、買主に告知をしなかった場合、告知義務違反として、地盤改良工事の費用負担をしてもらうことは十分に考えられます。

また、売主が軟弱地盤であることを知らなかった場合でも、家が建てられない程の軟弱地盤は物件の瑕疵に当たるとの判例がありますので、軟弱の程度によっては、2020年3月31日までの売買契約であれば、瑕疵担保責任に基づいて、売買契約の解除、損害賠償請求(地盤改良工事費用)を請求することが出来る可能性があります。

瑕疵担保責任は、無過失責任なので、売主が軟弱地盤であるかどうかを知らなかったとしても請求することが出来ます。

また、2020年4月1日以降の売買契約であれば、契約不適合責任に基づいて、追完請求(地盤改良工事)、代金減額請求(期間内に追完がなされない場合)、損害賠償請求(売主の帰責事由が必要)、売買契約の解除(契約不適合が軽微である場合を除く)を請求することが出来る可能性があります。

ただし、売買契約書の特約として、売主の「瑕疵担保責任」または「契約不適合責任」を免責する特約がついていた場合は、売主が軟弱地盤であることを知っていながら告知をしなかった場合を除いて、「瑕疵担保責任」または「契約不適合責任」に基づく責任追及は出来なくなります。

仲介業者への責任追及は?

仲介業者は、軟弱地盤であるかどうか調査する義務を負っていませんので、説明の無かったことに対して、説明義務違反等の債務不履行責任や、不法行為責任を追及することは困難です。

ただし、仲介業者が売主から地盤調査等の結果の告知を受けている等、当該土地が軟弱地盤であることを知っていたような場合には、重要事項として買主へ告知する義務がありますので、仲介業者が告知を怠っていた場合、責任追及は可能です。

 ※売主も、仲介業者も、売買にあたって地盤調査をしておかなければならない義務はありませんし、軟弱地盤である土地を売ってはいけないということもありません。買主としては、売りに出ている物件が、必ずしも地盤調査をしているとは限らないことに留意しましょう。

地盤調査を行っていない場合、土地が軟弱である可能性は常にあり、買主はその危険性を承知で買うか、断念するかを決断する必要があります。もし、不安のある物件を購入するのが嫌な場合は、既に地盤調査が終わり、地盤保証が為されている物件を選ぶか、売買契約をする前に、地盤調査を売主側で行って欲しい旨の交渉をすることになります。

不動産適正取引推進機構のHPへ
名古屋高裁H22.1.20 瑕疵担保責任で軟弱地盤の改良費が認められた事例
東京地裁H24.5.31 瑕疵担保責任で損害賠償が認められた事例

旧民法の規定

第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)

 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

 前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

第570条(売主の瑕疵担保責任)

 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合はこの限りでない。

第572条(担保責任を負わない旨の特約)

 売主は、第560条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

 参考:旧民法|e-Gov法令検索

改正民法の規定

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