3-6 売買対象物件の隣地で自殺があったことを教えてくれなかった

Q【買主】

買主です。

中古住宅を購入して、引渡しを受けましたが、近所の人から「お宅の隣の家の人が数年前に自殺していますよ」という事実を聞きました。隣の家のこととは言え、正直気持ちが良いものではありません。

売主や仲介業者は、当然その事実を知っていたと思いますが、重要事項説明や、告知書には何も記載がありませんし、口頭でも説明を受けていません。

売買契約を解除するか、少なくとも損害賠償請求をしたいと思いますが、その主張は認められるものでしょうか?

隣地自殺
A

契約解除または売主への損害賠償請求

過去の判例等から考えると、売買対象物件の敷地外での自殺が、売買対象物件の心理的瑕疵に当たると認められる可能性は極めて低いと考えられます。そのため、売買契約の解除はもとより、損害賠償請求も難しいものと考えられます。

仲介業者への損害賠償請求

仲介業者には、隣地に自殺者がいるかどうかを調査する義務はありません。そもそも心理的瑕疵に当たらないのであれば、重要な事項とは言えませんので、告知義務も無いと考えられます。
結論としては、仲介業者に損害賠償請求するのも難しいでしょう。

例外

隣地で起こったのが殺人事件だった場合には、少しだけ責任追及の可能性が出てきます。

殺人があった土地と、その土地の隣地を一体にして分譲しようとしたケースにおいて、「隣地も瑕疵を帯びる」とした判例があることに加え、殺人の場合は、自殺よりも相当嫌悪感が強くなるというのが一般的な感情です。
特に殺人の被害者が多かったり、猟奇的な殺人事件だったりした場合は、隣地のことといえども心理的瑕疵に該当する場合も出てくると考えられます。

不動産適正取引推進機構のHPへ
大阪高裁H18.12.19 殺人事件のあった土地と、隣接地を併せて分譲
仙台高裁H8.3.5 隣地の森林で自殺
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