4-3 売主宅建業者の領収書の交付義務
【買主】買主です。
売主である宅建業者から中古住宅を購入し、売買代金を銀行振込で支払いました。売主業者に領収書を交付してくれるよう要望しましたが、売主業者の担当者から「銀行振込の控えが領収書代わりになりますので、領収書は発行しません」と言われました。
断られてしまった場合、売主業者から領収書をもらうことは出来ないのでしょうか?
民法486条の規定では「お金の支払いと共に領収書の交付を請求することが出来る」となっており、また東京地裁s47.9.18で『銀行振込の場合でも領収証 交付請求権は消滅しない』という判例が出ていることから考えると、買主は、売主業者に対して領収書の交付を請求することが出来ると考えられます。
しかし、民法486条は任意規定であるため「銀行の振込明細書をもって領収証の発行に代える」などのように、事前の合意があった場合(売買契約書にそのように特約がある場合等)は、合意の方が優先することになります。その場合、売主業者に対して領収書の交付を求めることは出来ません。
なお、買主が一度交付された領収書を紛失した場合については、領収書の発行者(売主業者)には再発行に応じる義務がありません。売主業者に拒絶されたしまった場合、買主は諦めるざるを得ません。