3-4 昔、存在していた建物内で自殺があったことの説明がなかった
【買主】買主です。
仲介業者を通じて、土地(更地)を購入しましたが、近所の人から、その土地に「昔、建っていた建物内で自殺があったよ」と聞かされました。
仲介業者に確認をしてみたところ「自殺があったのは事実です」と肯定しましたが、同時に「既に建物が取り壊されているので説明義務はありません」と言われました。法律的には分かりませんが、同じ敷地の中で自殺者が出ていたことを考えると、そのまま住み続けることは心理的に難しいです。
契約解除や、売主や仲介業者に損害賠償請求をすることは出来ないのでしょうか?
契約解除の主張や、損害賠償を請求するには、当該自殺が心理的瑕疵に該当する必要があります。
自殺が心理的に該当するかどうかの判断
法律的には細かいことが決まっていませんので、本当に白黒つけようと思うならば、裁判所の判断を仰ぐしかありません。裁判所では、以下のようなことが判断材料となります。
・自殺があったのが何年前のことか。
・どういった亡くなり方だったのか。
・建物が取り壊されているかどうか。
・近所の住人の認知度(噂)はどの程度あるか。
・購入者が購入した目的。
過去の裁判事例
自殺のあった建物が取り壊されている場合、建物が残っている場合に比べて、心理的嫌悪感はかなり薄れると判断されており、心理的瑕疵とは認められなかったケースがあります。
また、心理的瑕疵による裁判例では、売買契約の解除までは認めず、損害賠償請求を認める判決が多く出ていることから、仮に裁判上で「建物が取り壊されていたとしても心理的瑕疵がある」と判断された場合においても、売買契約の解除が認められる可能性は極めて低いものと考えられます。
結論
本件では、特殊な事情が無い限り、売買契約の解除は認められないと考えられます。損害賠償請求については、自殺があってからの年数や、その他の事情によって、認められる可能性はあります。
高松高裁H26.6.19 | 20年以上前の自殺の告知義務 |
---|