2-6 購入した中古住宅が浸水しやすい地域にあった。売主や仲介業者に責任追及できるか?

Q【買主】

買主です。

3ヶ月前に中古住宅を購入しましたが、台風だけでなく、少し大雨が降ると、すぐに庭が浸水(冠水)してしまうことが分かりました。市役所などで調べてみたところ、過去にも浸水被害が起きていたことが分かりました。

売主や仲介業者は、そのような場所であることを知っていたと思いますが、売買契約の時の重要事項説明書や告知書には何も記載がありませんでした。

騙されて購入させられたのではないかと思いますが、今からでも売買契約の解除や、損害賠償請求をすることは出来ますか?

浸水
A

売主への責任追及は?

当該物件の浸水被害の状況(頻度や被害の程度)が酷いにも関わらず、売主が告知書(物件状況確認書)等で「過去に浸水被害は無い」と告知しているようであれば、虚偽の告知ということになりますので、ある程度、その責任を問うことが出来ると考えられます。
売主が物件を相続した等の理由により、浸水被害を受けていたことを知らなかったのであれば、虚偽の告知ということにはなりませんので、告知義務に対する責任追及は難しくなります。

売主が浸水被害について何も知らない場合であっても、契約不適合責任に基づいて、追完請求、代金減額請求、契約解除等が認められる可能性はありますが、特約で売主の契約不適合責任が免責されている場合、それも難しいと考えられます。

仲介業者への責任追及は?

仲介業者の重要事項説明項目は、宅建業法35条に定められていますが、直接、浸水の履歴についての説明はその中に列記されていません。そのため、その浸水被害が買主にとって 『重要な事項』 に該当すると判断される場合であって、かつ当該仲介業者が浸水被害の履歴等を知っていた場合(知っていて当然と考えられる場合)は、説明義務違反を問える可能性があります。

また、2020年8月より、仲介業者には重要事項説明でハザードマップの有無や、当該マップ中の物件の所在地を説明する義務が追加されています。そのため、ハザードマップ中で今回の物件が浸水区域に含まれていること、かつ仲介業者が当該ハザードマップの説明を怠っていた場合は、説明義務違反が認められやすくなるものと考えられます。

仲介業者の責任が認められる場合は、契約解除ではなく、損害賠償請求が認められます。

不動産適正取引推進機構のHPへ
東京地裁H29.2.7 売主業者と仲介業者の説明義務違反が認められた事例
東京地裁H19.1.25 浸水に関する説明義務違反が否定された事例
東京地裁H15.9.25 冠水しやすい土地の性状は瑕疵に当たらないとされた事例
東京地裁H15.4.10 瑕疵担保責任による契約解除が認められた事例
住宅リフォーム・紛争処理支援センターのHPへ
台風で地下駐車場が浸水し、車が被害を受けた。損害賠償請求したい
豪雨で床下浸水が生じた。購入時には水害の可能性はないと聞いていたが、売主に責任を問えるか
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