3-7 土地を購入したが、都市計画道路の説明がなかった。

Q【買主】

土地の買主です。

一般の売主から土地を購入しましたが、家の建築計画を進めていたところ、道路側の一部敷地に都市計画道路が掛かっていることが分かりました。もしも、将来的に市の計画が実行されてしまうと、敷地の一部が道路として収用されてしまうことになり、駐車場として考えていた部分が削られてしまうことになります。

仲介業者からは、そんな重要な説明が一切ありませんでした。

将来的に駐車場が無くなってしまうようでは、この土地に家を建てる気にはなれません。
売買契約の解除または損害賠償請求をすることが出来るのでしょうか?

都市計画道路
A

売買契約解除の可否は?

都市計画道路の存在が、契約不適合(売主の債務不履行)に該当する場合は、契約解除を主張できる可能性があります。
ただし、売買契約の特約により、売主の契約不適合責任が免責されている場合は、契約解除は出来ません。

また、物件に対して都市計画道路が掛かっている面積が少なく、家の建築等への影響が少ない場合には、契約解除までは認められません。

売主への損害賠償請求の可否は?

一般の売主には、宅建業法上の説明義務が課されていませんので、説明義務違反に基づく損害賠償請求は難しいと考えられます。
ただし、売買物件が都市計画道路に掛かることを売主が知っており、また、それが買主の権利を害することを分かっていて、故意に買主に黙っていたのであれば、民法709条の不法行為に基づく責任を問える可能性はあります。

また、都市計画道路の存在が、契約不適合(売主の債務不履行)に該当する場合で、売主に「帰責事由がある場合」は、民法415条に基づき損害賠償請求が可能です。

仲介業者への損害賠償請求の可否は?

都市計画道路の有無については、宅建業法35条1項2号宅建業法施行例3条1号の説明義務に含まれています。もし買主が何も説明を受けていないのだとすれば、仲介業者には過失、説明義務違反があると言えます。その結果、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求が認められると考えられます。

損害賠償の額について、過去の判例では、不動産価値の減価額、不動産鑑定士費用、弁護士費用、慰謝料などが認められています。

不動産適正取引推進機構のHPへ
東京地裁H22.1.26 購入した住宅に都市計画道路が一部掛かることの説明がなかったことについて、契約解除が認められず、損害賠償だけが認められた事例

民法の規定

宅地建物取引業法の規定

宅地建物取引業法 施行令の規定

都市計画法の制限

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