1-6 賃貸借契約締結時の保険加入の強制
【賃借人】借主です。
賃貸マンションの賃貸借契約を締結することになりましたが、仲介の不動産会社から「賃貸借契約の締結には、仲介業者が指定する保険会社の住宅総合保険への加入が必須です」と言われました。
「自分の方でツテがあるので、そちらの保険に入っても良いですか?」と仲介業者に確認したところ、「それではダメです」と言われました。
何処の保険に入るかは自由だと思いますが、本当に仲介する不動産会社が勧める保険会社の住宅総合保険に加入しなければならないのですか?
結論から言えば、加入しなければならないと考えられます。
例外として、仲介業者ではなく、賃貸借契約の当事者である賃貸人が、「別の保険会社の総合保険でも構いません」と合意してくれるのであれば、賃貸借契約を成立させることは可能ですが、現実的には難しいと言えます。
まず、その時点で、賃借人には、賃貸人の連絡先が分かりませんので、直接連絡する術がありません。また、仮に賃貸人の連絡先が分かっていたとしても、賃貸人としてみると、保険会社については仲介する不動産会社に一任していることが多く、敢えて仲介業者に逆らう決断を下すとは考えづらいことがあります。
そのため、結局は仲介の不動産会社が勧める保険に加入して賃貸借契約を締結するか、賃貸借契約の締結自体を諦めるかの2択になります。仲介の不動産会社が勧める保険が、余程質の悪い(高額の)ものでなければ、加入した方が、賃貸借契約はスムーズに締結できるでしょう。
保険会社を指定することが、独占禁止法に当たるとの意見もありますが、今のところ、処分されたという話は聞いたことがありません。
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