5-4 家賃の振込手数料は誰の負担になるか。

Q【賃借人】

アパートの借主です。

先日、賃貸アパートの賃貸借契約を締結し、現在入居中です。月々の家賃については、銀行振り込みという契約になっていましたので、振り込み手数料を差し引いて振り込んだのですが、すぐに管理業者から連絡があり「振り込み手数料分の家賃が不足しているので、追加で振り込むようにして下さい。振り込んでくれない場合は滞納になります」と言われました。

賃貸借契約書には、振り込み手数料がどちらの負担となるかの記載はありませんし、振り込み手数料に関する説明もありませんでした。
しかし、そもそもこちらがお客側となりますので、振り込み手数料は賃貸人の側で負担するものではないでしょうか?

振込手数料
A

振り込み手数料についての考え方としては、第一に、賃貸借契約書の中で誰が負担するのか明記されていれば、その約定に従うことになります。

質問の事例のように、振り込み手数料の費用負担について、賃貸借契約書等に約定が何も無い状態であれば、民法485条の規定により、債務者(金銭を支払う側)である賃借人が負担することになります。そのため、賃借人の勝手な判断で、振り込み手数料分を差し引いて家賃の振り込みをした場合、管理会社の言うとおり、家賃の滞納状態となりますので、最終的には賃貸借契約を解除された上に、損害賠償請求を受けてしまう恐れがあります。

賃借人として、もし振り込み手数料の負担がどうしても納得できないのであれば、賃貸人と協議して「家賃を持参で支払ってもOKという許可をもらう」、「振り込み手数料を賃貸人負担としてもらう」等のように、新たな合意をするしかありません。

最近では賃料のクレジットカード払いが出来るところもありますので、振り込み手数料の負担を嫌う場合は、賃貸物件を探す段階で検討してみてください。

なお、民法485条は、任意規定となっています。すなわち、当事者間の合意があれば、民法の規定よりも、当事者間の合意が優先して適用されますが、合意が為されていない以上は、そのまま民法の規定が適用されることになります。

民法の規定

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