1-8 未成年者の賃貸借契約の取り消し

Q【賃借人の親権者】

まだ未成年である子供が、勝手に賃貸アパートの賃貸借契約を締結してしまいました。

仲介をしている宅建業者から、連帯保証人としての署名押印を求められましたが、親としては、引越しを認めておらず、この賃貸借契約をなかったことにしたいと思っています。

仲介業者に、賃貸借契約をなかったことにしたいと伝えたところ、「契約解除については認めますが、既に契約しているので、契約金(1か月分の賃料、礼金、1か月分の違約金)を支払ってください」と言われました。

まだ物件の鍵も受領していませんし、連帯保証人としての署名押印もしていませんが、仲介業者から求められている契約金について支払わなければならないのでしょうか?

未成年
A

未成年(制限行為能力者)が単独で行った契約行為は、取り消しすることが出来ます。(民法5条2項

契約の取り消しを行った場合、賃貸借契約は最初に遡って無かったことになりますので、契約金の支払いに応じる義務はなくなりますし、未成年者が支払った代金があれば、返還請求することができます。

取り消しすることが出来ない場合

 ・法定代理人(親権者)が、契約行為に同意をしている場合。

  ※父親、母親がいる場合は両方の同意が必要です。

 ・未成年者が成年となった後に、契約行為を追認した場合。

 ・法定代理人(親権者)が、契約行為を追認した場合。

  ※親権者が代金の一部または全部を支払ったりする場合等、契約行為を認めたり、履行を促したりする行為は追認行為となる場合があります。

 ・法定代理人から、処分を許された財産(小遣い)の範囲内である場合。(民法5条3項

 ・法定代理人から許された営業に関する取引である場合。(民法6条1項

 ・未成年者が、自分は成年だと嘘をついた場合。(民法21条

 ・結婚経験者である場合。(民法753条

 ・消滅時効。両親が未成年者による契約締結を知った時から5年間取消権を行使しない時。未成年者が成年に達してから5年間取消権を行使しない時。契約締結時から20年経過した時。(民法126条

未成年者契約の取消の通知の書き方

取り消し通知は、未成年者本人からでも、親権者からでもすることが出来ます。
文書にして、特定記録郵便または簡易書留または内容証明郵便など、記録の残る形で通知した方が宜しいでしょう。

書面の内容としては、「相手方の氏名」、「通知人の氏名」、「通知日」、「取り消し通知であること」、「契約日など、契約を特定することができる情報」などが入っていれば十分です。
もし、返金を求める場合は、「返金を求めることとその金額」、「返金先の口座情報」なども追記する必要があります。

改正民法の規定

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