6-5 数年前に交わした連帯保証契約はどこまで効力があるのか?

Q【連帯保証人】

賃貸借契約の連帯保証人をしています。

ある日、突然、不動産会社から連絡があり「Aさんが家賃の滞納をしています。連帯保証人となっていますので〇万円の滞納家賃を払ってください」と言われました。

確かに、数年前に会社の同僚であるAさんに頼まれて、連帯保証人になりましたが、その後、Aさんは会社を辞めてしまい、10年近くは連絡を取っていません。

連帯保証人となってから、今まで一度も連絡がなかったのに、今更、Aさんの滞納家賃を全部支払わなければならないのでしょうか?

また、今回の請求額を見てみると、不動産会社はAさんの家賃滞納が始まってからすぐに連絡をしてきたわけではなく、2年くらいが経過し、滞納家賃が積み上がってからの連絡となっています。突然「〇万円を支払え」と言われても対応できません。こういった場合も、言われるままに支払わなければならないものでしょうか?

連帯保証
A

連帯保証契約は、連帯保証契約の時から時間が経っていたり、連帯保証人と賃借人の関係が希薄になっていたりしても、勝手に解約されるものではありません。また、連帯保証人は賃借人と同等の責任を負っているため、原則としては、滞納家賃の全額についての支払い義務があると言えます。

ただし、状況によっては、連帯保証債務の請求が『信義則違反』『権利の濫用』に当たるとされることもあります。その場合はある程度の軽減が認められる可能性があります。

『信義則違反』『権利の濫用』とは、例えば、賃借人が家賃滞納を長期に渡ってしているにも関わらず、賃貸人(管理業者)が家賃の支払い督促を行わなかったり、連帯保証人に何も連絡をせず、漫然と賃貸借契約の更新を繰り返して、家賃の滞納(損害)を増加させた場合などがそのケースに当たります。

まずは、賃借人や管理業者から状況を聞き取り、可能な範囲で資料を徴収し、それを元に賃貸人(管理業者)と話し合いを重ねてみましょう。話がつかなければ、裁判上に決着を求めるしかないと思いますので、弁護士さんに相談してみてください。

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東京地裁R1.7.17 賃料不払いの拡大防止措置を講じなかった賃貸人の、連帯保証人への請求の一部が権利濫用として棄却された事例
東京地裁H25.6.14 連帯保証債務の請求の一部が信義則違反とされた事例
広島地裁H20.2.21 滞納があったのに、10年以上連帯保証人に連絡をしなかった事例
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