6-2 連帯保証人の責任は、賃貸借契約の更新後も自動で引き継がれるのか?
【連帯保証人】賃貸借契約の連帯保証人です。
今から10年前、知人が賃貸借契約をする時に頼まれて連帯保証人になりましたが、最近、その知人が賃料を滞納し始めたらしく「本人が支払わないので、連帯保証人の貴方が代わりに滞納家賃を払ってほしい」と、不動産管理会社からの連絡がありました。
当初の賃貸借契約が、期間2年の契約となっていたため、私はその間だけの連帯保証をすれば良いのだと思っていました。賃貸借契約は実際には、2年ごとに更新されていたようですが、その更新についても連帯保証人である私には何も連絡がありませんでした。
このような場合でも、私が知人の滞納家賃を支払わなければならないのでしょうか?
賃貸借契約が更新された後も連帯保証を引き継ぐかどうかについて、連帯保証契約の当事者(賃貸人と、連帯保証人)間で、『賃貸借契約更新後は連帯保証を引き継がない』等の特段の取り決めや、事情等が無ければ、連帯保証人は、賃貸借契約更新後の債務についても責任を負わなければならないと考えられています。
そのため、連帯保証人は原則として滞納家賃を支払わなければなりません。
賃貸借のトラブル事例6-5『数年前の連帯保証契約はどこまで効力があるのか?』
民法改正の影響
民法改正後も基本的には上記と同じ考え方です。
民法改正後(2020年4月1日以降)は、個人の連帯保証契約に極度額を設ける必要がありますが、賃貸借契約を更新する時に連帯保証契約を更新しなかった場合、極度額がないままでも有効な連帯保証契約として継続されると解されています。
もし、賃貸借契約更新時に、連帯保証契約も併せて更新した場合、連帯保証契約書に極度額の定めがなければ、連帯保証契約は無効となりますので、賃貸借契約更新後に発生した家賃債務等について、連帯保証人は連帯保証をしなくても済みます。
改正民法まとめ1-2『民法改正で、連帯保証契約がどのように変わるのか?』
東京地裁H26.5.12 | 法定更新後に連帯保証会社へ滞納家賃の請求 |
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東京地裁H25.6.14 | 信義則違反として、賃料の一定期間分だけの請求が認められた |