7-5 賃貸契約の入居審査の拒否理由を告げる必要があるか

Q【賃貸人】

賃貸マンションの貸主をしています。

仲介業者を通して、私の所有する賃貸マンションの一室に入居申込みがありましたが、審査の結果、入居基準を満たしていないことが分かったため、賃貸借契約の締結をお断りすることになりました。

そうしたところ、申込者は「入居を断る理由をはっきり言え」「既に引越しの準備をしているから損害賠償を払え」と主張してきました。

審査の内容を入居希望者に言う必要性はあるのでしょうか?

理由を言わずに断る場合、損害賠償請求には応じなければなりませんか?

審査結果
A

賃貸人は、入居希望者に対して、入居審査の審査基準も、結果の理由も告げる必要はありません。

賃借人が賃貸物件を選ぶ権利があるように、賃貸人にも賃借人を選ぶ権利があるため、何を基準に入居者を選定するかは原則として自由です。

ただし、入居希望者の国籍や人種だけを理由として、入居をお断りする場合は「差別」に該当することになります。その場合、裁判等になった場合には、入居希望者の慰謝料請求が認められてしまう可能性がありますので注意が必要となります。

また、賃貸借契約を締結する前であれば、原則として損害賠償義務は生じません。入居審査の結果が出る前に引っ越し準備をしてしまったというのは、入居希望者の自己責任です。そのため、損害賠償請求に応じる必要もありません。

不動産適正取引推進機構のHPへ
京都地裁H19.10.2 国籍を理由に賃貸借契約締結を拒否した事例
inserted by FC2 system