4-3 賃貸借契約で、前の入居者が自然死(病死)していたことの告知がなかった

Q【賃借人】

借主です。

アパートの賃貸借契約を締結しました。引越しをして、入居し始めてすぐ、同じアパートに住む人から「貴方の前にその部屋を借りていた人は病死していますよ」と教えてもらいました。

病死とはいえ、人が亡くなっている部屋は気味が悪くて、このまま借り続けることは出来ません。

賃貸人や仲介業者からは、前の入居者が亡くなっていることについて、何も説明がありませんでしたし、知っていればこの部屋を借りることはありませんでした。

賃貸借契約の解除や、損害賠償を請求することは出来ないのでしょうか?

不告知
A

病死は、自然死に当たりますので、心理的瑕疵には当たらず、賃借人に対しての告知義務も発生しないというのが今のところの一般的な見解です。

告知義務がない以上、当然、賃貸借契約の解除や、損害賠償は請求できないということになります。

例外として、前の入居者が病死してから発見されるまでに相当の時間が経過していて、遺体が腐乱した状況で発見されたとか、そのせいで発生した悪臭や汚損が酷かったり、近隣の噂になってしまっている場合、心理的瑕疵に該当する可能性が出てきます。

また、賃借人が契約前に「この部屋で病死している人はいませんね?」などのように仲介業者に確認をしている場合等は、仲介業者に告知義務が発生する可能性があります。

国土交通省にて、2021年に「心理的瑕疵に関するガイドライン」が公表しましたが、同様の見解です。

もし、心理的瑕疵や、告知義務違反に該当する要因が存在するのであれば、賃貸借契約の解除や、損害賠償請求が認められる可能性もあります。

 参考:不動産取引における心理的瑕疵に関するガイドライン | 国土交通省

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