3-4 大家(管理業者)が雨漏りの修繕をしてくれない

Q【賃借人】

借主です。

古い一戸建てを借りていますが、昨年から雨漏りがするようになりました。大家さんや管理業者に雨漏りを修繕してくれるよう伝えたところ、一度だけ修理業者の方が来てくれましたが、結局、雨漏りは直りませんでした。

それ以降は、いくら雨漏りの修繕を催促しても、大家さんや管理業者は対応してくれません。長い間、雨漏りに悩まされていますが、どうすれば良いのでしょうか?

雨漏り修繕
A

民法606条1項により、雨漏りの原因が賃借人に無い場合、修繕義務は賃貸人にあります。
管理業者がいるようであれば、まずは管理業者に相談して、賃貸人を説得してもらいますが、それでも修繕を行ってくれない場合は、次の3つの中から選択するようにします。

引っ越して、引っ越し費用等の掛かった費用を、賃貸人に損害賠償請求する

民法601条により、賃貸人には賃貸物件を収益させる積極的な義務があります。雨漏りのせいで、賃借人の居住目的が達成できないということであれば、賃貸人の債務不履行になります。民法606条1項にも違反しますので、損害賠償請求が可能であると考えられます。

ただし、賃貸人との話し合いでは、なかなか合意が成立しないでしょうから、調停や裁判を見据えなければなりません。

 ※軽度の雨漏りで、使用収益に影響がないと判断された場合、認められない可能性があります。

自分で修繕し、必要費として、賃貸人に請求(家賃から差し引く)する

民法改正前では、民法608条を根拠として、必要費(目的物の保存・管理・維持に必要とされる費用)を賃借人が支出した時は、賃貸人に償還請求することが出来ます。

ただし、裁判になるかもしれないので、賃貸人に対して、証拠の残るように内容証明郵便で、雨漏りの修繕の依頼、および修理しない場合は賃借人側で修理して、その修理費を請求(家賃から差し引くこと)等を通知し、修理前の写真や、工事の請求書・領収書などを保管しておきましょう。

民法改正後では、民法607条の2を根拠として、賃貸人が修繕を実施しない時に、賃借人が自ら修繕することが出来ます。

ただし、民法607条の2の要件を満たしていることを証明するために、やはり賃貸人に対して、証拠の残るように内容証明郵便で、雨漏りの修繕の必要があること等を通知しておき、修理前の写真や、工事の請求書・領収書などを保管しておきましょう。

修繕が終わるまで、家賃を減額してしまう

民法611条1項により、賃料を減額することが出来ます。ただしあくまで使用できなくなった割合分だけ減額することが出来ます。イラっとしているからといって、賃料を1円も支払わないと逆に滞納扱いとなりますので、下記のことを参考に減少額を算定する必要があります。

 ①使用できない状態の部分の面積の、建物全面積に対する割合

 ②使用目的に応じた賃借人の損害の程度

家賃滞納と言われないためには、大家さんと話し合いで、減額について了承をもらう方が望ましいです。もし了承が貰えない場合は、後で裁判になるかもしれませんので、内容証明での通知、写真や、経過をまとめたものなど、証拠を保管しておきましょう。

民法の規定

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