2-3 大家から立ち退き請求を受けた場合、幾らの立退料を請求できるのか?

Q【賃借人】

借主です。

築年数の古いアパートを借りていますが、最近大家さんから「建物が老朽化しているので、取り壊すことになった。半年以内に立ち退いて欲しい」と言われました。

確かに老朽化していますので、相応の立ち退き料を支払ってくれるのならば、立ち退いても良いと考えていますが、今のところ大家さんからは立ち退き料を提供するつもりはないようです。

私の方から請求する場合、一般的に幾らくらいの立ち退き料を請求しても良いのでしょうか?

立ち退き料の計算
A

賃貸借物件からの立ち退き料については、そもそも法律では定められていませんので、「家賃の何ヶ月分を請求できる」とか、「賃貸人は何円を支払わなければならない」とかは法律上は決まっていません。
あくまでも、賃貸人、賃借人の間で合意した金額が立ち退き料になるというのが原則です。

その原則を踏まえた上で、仮に裁判所で争った場合は、立ち退かなければ賃借人が支払う必要のなかった金銭、立ち退くことで無駄になってしまった金銭等が認められやすいようです。

立ち退き料の算定に使用される根拠

・引越料
・次の物件を借りるための仲介手数料
・次の物件を借りるための礼金
・同じ規模の賃貸物件を借りる為の家賃の差額(期間を定めて)
・借家権割合
・賃借人が造作に費やした費用
・営業保証金(店舗や事務所の場合)
・慰謝料

以上の全部を受領できるというわけではなく、ケースバイケースで、相手方と交渉次第です。

立ち退き料の合意に至らない場合

賃貸人、賃借人の間で、立ち退き料の金額について合意ができなかった場合、賃借人は立ち退く必要がありません。

ただし、賃貸人から立ち退きを求めて裁判を起こされる可能性があります。裁判になってしまうと、賃借人側も精神的に消耗しますし、望んだMAXの結果が得られるとも限られませんので、もし話し合いの中で妥協点が見つかりそうな場合は、妥協することも考えてみてください

不動産適正取引推進機構のHPへ
東京地裁R1.12.5 特定緊急輸送道路沿いのビルと一体的に建設された旧耐震建物の貸主の、賃貸借契約の解除の申入れに立退料の支払いをもって正当事由が認められた事例
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