2-5 賃借人が荷物を残したまま夜逃げした。どうすれば良いのか?

Q【賃貸人】

アパートの貸主です。

借主の一人から賃料が振り込まれなくなりました。電話による連絡や、直接尋ねてもコンタクトが取れませんでしたので、緊急連絡先などに確認したところ、夜逃げしていたことが分かりました。

貸室の中を確認したところ、金目の物は持って出て行ったようで、残っている家具などは古くて価値が無いと思われます。このままですと、次の入居者を募集することも出来ませんので、残置されている物品を勝手に捨てても良いのでしょうか?
また賃貸借契約の解除はどうすれば良いのでしょうか?

夜逃げ
A

賃借人の実印と印鑑証明付で、退去の申し出と、残置物処分の委任状が残されているのなら別ですが、そうでないなら、勝手に捨てるのは止めておきましょう。

原則だが費用も手間も掛かる方法

弁護士に依頼して、契約解除と明け渡しの強制執行等、裁判上の手続きをとることが真っ当なやり方です。

未払賃料債権を回収するために、不動産賃貸借の先取特権に基づいて、借主が残置している家財道具類の競売申立てを行っておけば、残った家具も併せて片づけられます。お金も時間も掛かりますが、”合法的”です。

非合法だが簡単な方法

勝手に部屋に入って、勝手に残置物を棄ててしまうという手がありますが、その場合、借主がひょっこり戻ってきて、「ちょっと旅行に行っていただけなのに、勝手に家具を捨てられたので損害賠償を請求する」等と、家賃滞納などは横に置いておいて、臆面も無く言われる可能性があります。

日本では自力救済が認められていないため、借主からの請求はある程度まで認められる可能性が高い上、下手すれば刑事事件になってしまいます。止めて置いた方が良いでしょう。

グレーな方法だが簡単な方法

グレーな方法であれば、連帯保証人や親族等に連絡して、残った家具を片付けてもらうという方法があります。

連帯保証人や親族には、賃貸借契約を解除する権利も、荷物を片付ける権利も本来ありませんが、家具が残ったままで困るのは連帯保証人も同じです。いつまでも家賃の立て替え払いをしたくないでしょうから、協力を得られる可能性はあります。親族の場合は、家族が迷惑を掛けている状況ですので、協力を得られる可能性があります。

もし、後で借主が何か言ってきたら、実際に家具を持ち出した連帯保証人や親族に文句を言ってもらうようにしましょう。

予め夜逃げに備えておく方法

予め備えるのであれば、賃貸借契約書等に、一定の条件下では連帯保証人に契約解除の権限と、残置物の片付けの代理権限を与えるような特約をしておくのが望ましいかと思います。裁判で争った場合、当該特約が必ず有効になるとまでは保証出来ませんが、契約上の文言が何も無いよりは、ましだと考えられます。

滞納家賃の回収について

なお、滞納家賃については、借主の連絡先が分かれば請求出来ると思いますが、仮に裁判で勝訴したところで支払いが行われる可能性は少ないと思いますので、労力を考えると泣き寝入りすることになると思います。

inserted by FC2 system