1-1 家の木の枝や根が、自分の家の方に越境しているが切ってしまっても良いのか?

Q

隣家の樹が大きくなって、私の家の方に枝や葉っぱ、根っこが侵入してきています。見た目が良くないというだけではなく、冬になると私の屋敷の樋に枯葉が積もってしまったり、根っこに躓きそうになるという実害を受けています。

また、古い樹なので、万が一、枝が折れてしまった場合、こちらに物的被害や人的被害があるのではないかと危険も感じています。

この樹のことでは、何度も隣家の人に苦情を言い、剪定(管理)もしくは伐採して欲しいと要請しましたが、お金が無いや、時間が無いことを理由に全く対応してくれません。

勝手に枝を切り落としても問題はありませんか?

A

法律的に、枝を勝手に切っても良いのか?

民法233条の規定によると、越境してきた隣地の木の枝については勝手に切除することは出来ず、隣地の人に切除してもらうことが原則となっています。

2023年(令和5年)4月1日の民法改正前までは、隣家の方の同意を得ずに勝手に切除してしまった場合、最悪、裁判上で損害賠償請求をされる恐れがありましたが、改正された民法では、①竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき、②竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき、③急迫の事情があるとき。には自分で切り取ることが出来るようになりました。

木の枝

法律的に、根っこを勝手に切っても良いのか?

民法233条2項の規定によれば、隣地から越境してきた根っこについては、勝手に切除しても構わないことになっています。

つまり、美味しそうな竹の子が生えてきた場合、根っこの一部なので、切って、筍ご飯にして食べてしまっても構わないということです。

ただし、これは法律的な規定であって、近隣関係を考えた場合、あまり実情に即しているとは言えないと思います。

木の根

実際の対応の方法

木の枝にしろ、根っこにしろ、とりあえずは、隣家の方にお願いしてみることが第一です。枝や根っこを勝手に切除したことで樹木が枯れてしまうかもしれませんし、法律的には問題がないとしても、逆恨みされる恐れはあるからです。

民法上で決まっているから、隣地の人に切除してもらって当然という態度で強く言ってしまうと、隣地の人の態度も硬化する恐れがありますので、和やかにお願いをする感じが良いでしょう。文書で、困っているという意思を伝えることも有効だと思います。

隣地の人が頑固な人の場合、交渉は難航する可能性がありますが、民法233条の規定を示したり、切除費用の一部の負担を申し出たりするのも有効です。妥協点を探っていきましょう。

隣地の人である以上、将来に渡って顔を合わせなければならず、感情のもつれというものは、法律以上に面倒なことになるからです。

隣地の人が切除をどうしても対応してくれない場合

法律上認められている範囲であれば、内容証明など、証拠が残る形で隣地住人に通知をしておいて、自分で切ってしまう手もあると思いますが、権利の濫用に当たるとして、訴えられる可能性もゼロではありませんので、弁護士に相談してから、対応を考えた方が良いでしょう。

民法の規定

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