1-7 通行地役権登記がある通路に、所有者が駐車をしてしまう。

Q

隣地の人が所有する私道に、私の土地のための通行地役権がついていますが、一年前から、隣地の人がその私道上に自家用車を駐車するようになってしまいました。

自分の自動車がギリギリ通れるくらいの道幅は空いていますが、毎回大変なのも事実です。

隣地の住人に対して、何度か「通路上に駐車するのは止めて下さい」と言いましたが、「ここは、自分の土地だ」「車が通れるから良いだろう」と言って、駐車するのを止めてくれません。

何とか、駐車を止めてもらう方法はありませんか?

通行止め
A

通行地役権とは、自分の土地の便益のために他人の土地を通行できる権利のことですので、状況にも寄りますが、通行地役権に基づく通行妨害禁止請求が認められる可能性があります。

最高裁の判例では、類似案件について「当該通行権が通路土地の幅員全部に設定されたものであること」「現況が舗装された位置指定道路で通路以外に考えられないこと」から、当該通行地役権は、通行の目的に限り通路土地全体を使用できる権利であると認定し、誰か一人がその土地の一部を独占的に使用している場合は、妨害排除または妨害予防請求権に基づき、当該行為を禁止出来ると判断しています。

駐車をしてしまう隣の人(私道所有者)に対して、通行地役権とはこういう性質のものであり、こういった裁判例も出されていると提示して、交渉してみましょう。
交渉が決裂したら、後は裁判上で話をつけるしかありません。

不動産適正取引推進機構のHPへ
最高裁 H17.3.29 通行地役権者からの通行妨害禁止請求

民法の規定

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