2-6 媒介契約の種類と特徴

3種類の媒介契約

宅建業法上、媒介契約には『一般媒介契約』『専任媒介契約』『専属専任媒介契約』の3種類があります。

宅建業者(不動産会社)によっては、特定の種類の媒介契約しか依頼を受けてくれないということもありますのが、もし依頼者が自由に選べる場合は、3種類の特色を良く考えてから依頼するようにしましょう。

2022年5月18日より、宅建業者は媒介契約書を電磁的方法でも提供できるようになりました。

一般媒介契約とは?

依頼者、宅建業者、共に拘束度のゆるい媒介契約です。

・依頼者は、別の宅建業者へ重ねて売却を依頼することができます。ただし、殆どの契約書では、別の宅建業者へ依頼したことを、最初の宅建業者に通知する義務が課せられています。別の業者の仲介で、売買契約が成立した時は、最初の業者に仲介手数料(報酬や費用)を支払う必要はありません。

・ 媒介契約の期間は決まっていません。

  ※国土交通省指定の標準媒介契約約款を使っている場合は期間3ヵ月になります。

・ 宅建業者から、依頼者への定期的な進捗状況の報告義務がありません。

・ 宅建業者が、物件情報をレインズ(業者間物件情報サイト)へ登録する義務がありません。

・ 依頼者は、自ら見つけた買主と直接取引することができます。そちらと成約した場合、宅建業者に仲介手数料を支払う必要はありません。

・ 媒介物件について、売買または交換の申込みがあった時、宅建業者は依頼者に、遅滞なくその旨を報告しなければなりません。

メリット
複数の宅建業者に依頼が出来るため、広く買主を募集することが出来ます。また、複数の業者に話を聞けるため、セカンドオピニオン的な効果も期待出来ます。

デメリット
売主が自ら買主を見つけてしまった場合や、別の宅建業者がお客を見つけた場合、最初に依頼された業者は報酬を1円も貰えないというリスクがある為、宅建業者が本気を出してくれない可能性があります。

専任媒介契約とは?

依頼者、宅建業者、共に中くらいの拘束度の媒介契約です。

・ 依頼者は、別の宅建業者へ重ねて売却を依頼することはできません。

・ 媒介契約の期間は3ヵ月です。合意があっても期間を増やすことは出来ません。また、法律上、媒介契約の自動更新は出来ないため、依頼者が再依頼しない限り更新されません。

・ 宅建業者から、依頼者への定期的な進捗状況の報告義務があります。(2週間に1回以上)

・ 宅建業者には、物件情報をレインズ(業者間物件情報サイト)へ登録する義務があります。(7営業日以内)

・ 依頼者が自ら見つけた買主と直接取引することができます。

・ 媒介物件について、売買または交換の申込みがあった時は、遅滞無くその旨を依頼者に報告しなければなりません。

メリット
一般媒介契約と違い、成約した場合の報酬がほぼ確約されているため、宅建業者が頑張ってくれます。

デメリット
一社にしか依頼できないため、頼りに出来なさそうな業者でも朗報を待つしかありません。また仲介業者が売主・買主双方から仲介報酬を貰おうとして、物件を抱え込まれる恐れがあります。

専属専任媒介契約とは?

依頼者、宅建業者、共に厳しい拘束度の媒介契約です。

・ 依頼者は、別の宅建業者へ重ねて売却を依頼することはできません。

・ 媒介契約の期間は3ヵ月です。合意があっても期間を増やすことは出来ません。また、法律上、自動更新は出来ないため、依頼者が再依頼しない限り更新されません。

・ 宅建業者から、依頼者へ定期的な進捗状況の報告義務があります。(1週間に1回以上)

・ 宅建業者には、物件情報をレインズ(業者間物件情報サイト)へ登録する義務があります。(5営業日以内)

依頼者が自ら見つけた買主と直接取引できません。

・ 媒介物件について、売買または交換の申込みがあった時は、遅滞無くその旨を依頼者に報告しなければなりません。

メリットデメリット
専任媒介契約と同じです。

どの媒介契約を選択したら良いのか?

信頼のおける宅建業者であれば、専任媒介契約(専属専任媒介契約)で依頼して問題ないと思います。どこか不安のある業者に頼む場合や、自分でも親戚などに当たってみたい場合は、一般媒介契約を結ぶようにしましょう。
なお、仲介手数料はどの媒介契約を選択した場合でも、また複数社に依頼した場合も基本的には同じです。

売買の基礎知識2-5『売却の媒介契約の依頼

売買の基礎知識1-11、2-11『仲介手数料(仲介報酬)の計算方法

不動産適正取引推進機構のHPへ
東京地裁R3.3.29 専任媒介契約の自動更新条項は、宅建業法第34条の2が定める有効期間の規定の潜脱であり無効とされた事例


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