1-7 売買契約における重要事項説明書
重要事項説明書の流れ
宅建業者(不動産会社)が、売主または仲介業者として宅地建物の売買取引に関与する場合、買主が売買契約書に署名押印する前に、必ず『重要事項説明書』という書面が交付され、その内容について説明を受けることになります。
宅地建物取引士の資格を持つ人が、宅地建物取引士証を買主に提示した上で説明を行いますので、何か不明な点がある場合、必ずここで質問しておくようにしましょう。重要事項説明書に署名押印した後で、良く聞いていなかったというのは通りません。
また、最近では売主に対しても「こういった内容で買主に説明していますよ」と、売主の確認印を求めることがありますが、宅建業法的には、宅建業者(不動産会社)は買主にのみ説明をすれば良いとされています。
2022年5月18日より、宅建業者は重要事項説明書を電磁的方法でも提供できるようになります。また、宅地建物取引士の押印義務もなくなりました。
重要事項説明書に記載されている内容
『重要事項説明書』には、対象物件に関する事柄が細かく記載されており、売主や買主の取り決め事が記載されている『売買契約書』とは全く別の書類となっています。
例えば、対象不動産の登記名義人が誰なのか、抵当権がついているか否か、道路が接続しているか、水道が来ているのか、下水が来ているのか、再建築が可能かどうか等の宅建業法に列記されている事項の他、嫌悪施設が近くにないか、自殺者がいないか等、買主の購入意思決定に大きな影響を与える事項(重要事項)が記載されています。
重要事項説明書の違反
宅建業者(不動産会社)の担当者が「宅地建物取引士証を買主に提示せずに説明を始める」、「書面の交付だけで、口頭による説明をせずに署名押印だけを求める」、「署名押印した重要事項説明書を持って帰ってしまう」等は、購入者に対して必ず損害を与えると決まった行為ではありませんが、いずれも宅建業法には違反します。
また、IT重説(直接の対峙をせずに、ネットを利用して重要事項説明をすること)については、賃貸借契約については2017年10月1日より、売買契約については2021年3月30日より許可されています。
業者の役立ちメモ2-2『遠隔地に居住する人への重要事項説明』