1-8、2-9 不動産売買契約書の役割とは?

売買契約書

『不動産売買契約書』とは、物件に関する説明が記載されている重要事項説明書と異なり、売主と、買主の間の詳細な取り決め内容が記載される書面です。

民法上は、売買契約は口頭の合意で成立するとされており、不動産であっても同様なのですが、口頭でのやり取りの場合、後で言った言わないのトラブルになってしまうため、また一般的な買い物に比べて不動産は高価な取引になるため、実務上や裁判上では『売買契約書』のやり取りをもって、契約成立と見做すことが殆どです。

2022年5月18日より、宅建業者は売買契約書(37条書面)が電磁的方法でも提供できるようになりました。また、宅地建物取引士の押印義務もなくなりました。特筆すべきは電磁的方法による場合、印紙税が掛からないようになることです。

売買契約書の作成枚数

不動産売買契約書は、同じものを2通作成し、売主と買主がそれぞれを1通を所持することになりますが、印紙税の節約のために1通だけ作成して、当事者の一方が本書を、もう一方がコピーを所持することもあります。

また、不動産が共有物件の場合で、売主が複数人いる場合などは、3通以上作成することもあります。

売買契約書の内容

売買契約書の主な内容は、「売買代金」、「引き渡し(決済)時期」、「問題が発生した場合の処理方法」、「契約解除の手段」、「違約金」、「その他の取決め事(特約)」等です。通常、定型の書式をそのまま使用することが多いですが、公序良俗等に反しない限り、売主、買主の合意によって特約の内容を付加することも、削除することも可能です。

もし、売買契約書の内容の変更を望む場合は、まずは仲介業者に相談してみてください。相手方の要望により、思った通りに変更が出来ない場合もありますが、その場合はその条件で売買を続行するかどうかを決断することになります。

売買契約の締結上の注意点

売買契約を締結する際には、売買契約書の一つ一つの内容について、必ず目を通し、分からないところは仲介業者に尋ねて理解をしてから、署名捺印をするようにしましょう。

売買契約でトラブルが起こる原因の一つとして、当事者が『不動産売買契約書』の内容を把握できていないことが挙げられるからです。一度署名捺印をしてしまえば、後になってから、売買契約書の内容を否定することは極めて難しくなりますので、可能ならば、売買契約締結の数日前に仲介業者から、雛形をいただいておいて、事前に内容を把握しておく方が望ましいと言えます。

ローン特約、契約不適合責任特約、手付解約特約等が、特にトラブルになりやすいところなので、良く理解しておいた方が良いと思います。

売買の基礎知識4-3『ローン特約(融資特約)

売買の基礎知識4-2『契約不適合に関する特約

売買の基礎知識4-5『手付解約特約

宅建業法との関わり

宅建業者が仲介、または当事者となる不動産取引の場合、宅建業者は、37条書面というものを取引当事者に交付しなければなりません。
37条書面に記載すべき事項は法定されており、売買契約書の内容と被るため、一般的には、37条書面と売買契約を兼ねたものを交付しています。

もし、売買契約書(37条書面)の交付を受けなかった場合、当該宅建業者は宅建業法違反ということになります。

宅地建物取引業法の規定

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