5-4 『公衆用道路』と『公道』の違い
『公衆用道路』と『公道』は混同されがちですが、その定義や、一般的な使用が可能かどうか、隣接する土地で建築許可が下りるかどうかについては、大きく違いがあります。
公衆用道路とは
『公衆用道路』は『公』とついていますが、必ずしも公共の物とは限りません。
そもそも『公衆用道路』とは、不動産登記規則 第99条において定義される21種類の地目の内の一つに過ぎません。
不動産登記事務取扱手続準則 第68条21号によると「道路法による道路であるかどうかを問わず一般交通の用に供する道路」となっているため、高速道路、国道、県道、市町村道だけでなく、農道、林道も『公衆用道路』に当たりますし、個人の所有物(私道)である『公衆用道路』も多々存在します。
『公衆用道路』が個人の所有物になっている場合、公衆用道路という名称といえども、私有物であるため、権利を持たない他人が好き勝手に利用することは出来ません。
徒歩による通行はともかくとして、自動車での通行や、工事車両の通行を制限される可能性がありますし、建築の為に水道管やガス管などを埋設する必要が出てきたとしても、所有者から難色を示される可能性があります。
また、『公衆用道路』は、個人の所有であっても、国や地方公共団体の所有であっても、建築基準法上の道路になっていることもあれば、なっていないこともありますので、建築を考える場合は、『公衆用道路』になっているかどうかではなく、建築基準法上の道路となっているかどうかの調査が必要となります。
公道とは
『公道』とは、公共団体の所有物である道路です。
『公道』は、建築基準法上の道路になっていることが多いですが、建築基準法上の道路になっていないこともあります。建築基準法上の道路になっている場合、敷地が公道に接道していても、原則として建築確認が取れませんので注意が必要です。※43条2項2号(改正前の43条但し書き)で建築確認が取れる可能性はあります。
家を建築する場合に必要な調査は、その道路が誰の物(公道 or 私道)なのか、その道路に対して、どんな権利(所有者の掘削権の同意や、通行権の同意)を有しているのか、建築確認が取れるのか(建築基準法上の道路か否か)を確認する必要があります。
売買の基礎知識5-3『建築基準法上の道路とは』
不動産登記規則の規定
不動産登記事務取扱手続準則の規定
第68条(地目)
1~20 省略
21 公衆用道路 一般交通の用に供する道路(道路法(昭和27年法律第180号)による道路であるかどうかを問わない。)
21~22 省略