2-7 売渡承諾書とは、その効力

売渡承諾書

売渡承諾書とは?

不動産取引における『売渡承諾書』とは、購入希望者から「買付証明書」が提出された後に、売主から購入希望者に対して「物件を売却する意思があります」という意味で発行する書面です。

『売渡承諾書』に記載されるべき内容は、「物件名」、「氏名」、「幾らで売るか」、「有効期限」、「その他の条件」などですが、特に法律に定められているわけではありませんので、それらが無くても『売渡承諾書』となりますす。

売渡承諾書の効力

『売渡承諾書』は、購入希望者の購入の意思表示に呼応する売主からの意思表示です。民法上は、不動産の売買契約も口頭契約で成立するとされていますが、過去の判例を見る限り、『買付証明書』を受領し、『売渡承諾書』の書面を交付しただけでは、原則として売買契約が成立しませんので、注意が必要です。

 ※買付証明書と売渡承諾書の内容で、売買契約書と遜色ないほどに合意が形成されていると考えられる場合、売買契約の成立と見做される場合もあると考えられます。

売渡承諾書の注意点

売買契約が成立していないということは原則として権利義務が発生していません。そのため、売主は『売渡承諾書』を交付した後であっても、意思表示を取り下げることは可能です。

売買契約の締結まで至っていなければ、損害賠償なども原則として発生しませんが、購入希望者から文句を言われたり、トラブルに発展する可能性はありますので、いたずらに『売渡承諾書』を発行してしまうことは止めた方が良いでしょう。

 ※売買契約締結前でも、状況によっては契約締結上の過失を問われる可能性があります。

売買の基礎知識1-5『買付証明書と、その効力

不動産流通推進センターのHPへ
2007年4月掲載 売渡承諾書と買付証明書の効力
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