3-1 売買契約書や覚書への署名の仕方

最初に・・・。
『署名』とは、自筆により、契約書等に住所氏名を記入することを指します。
『記名』とは、自筆以外(ハンコや印刷)により、契約書等に住所氏名を記入することを指します。

署名

署名・記名・押印それぞれの効力

日本国内で契約する場合、契約書等へは署名押印することが普通ですが、記名押印でも効力を発しますし、押印をせずに署名だけでも効力を発します。なにしろ、書面化が法律で決まっていないものについては、口頭だけでも契約が成立しますので、おそらく認印だけだろうと、それなりの効力を発するものと考えられます。

では、なぜわざわざ署名押印をするのかというと、それは信頼性の違いに他なりません。口頭だけの契約の場合、後になって、言った言わないのトラブルになることがありますし、記名押印の場合、後で「私は印鑑を押していません」と言われることがあります。そうなった場合、契約の成立が否定される可能性が高くなります。そのため、一般的には『署名』+『実印』を押してもらい、後で「私は知らない」ということを言わせないようにしているのです。

外国の方が取引相手の場合、印鑑を持っていないことが多々ありますので、その場合は、必然的に署名だけということになります。

※なお、かつては、商法32条に『この法律の規定により署名すべき場合には、記名押印をもって署名に代えることができる』とありましたが、商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律(平成30年法律第29号)の施行に伴い、削除されました。(同法は平成30年5月18日成立、同年5月25日公布、平成31年4月1日施行)

売主、または買主が代理人を立てている場合の契約書の署名の仕方

署名、押印は全て代理人が行います。
本人の印鑑の押印は不要ですが、代理人への委任状が必要になります。

-署名の仕方の例-

(本人住所)
(本人氏名)
(代理人住所)
代理人(代理人氏名) 【代理人印】

売主、または買主が成年被後見人の場合の契約書の署名の仕方

署名、押印は全て成年後見人が行います。
本人の印鑑の押印は不要です。

-署名の仕方の例-

(本人住所)
(本人氏名)
(後見人住所)
成年後見人(後見人氏名) 【後見人印】

売主、または買主が未成年の場合の契約書の署名の仕方

親権者が法定代理人として契約する場合、署名、押印は全て法定代理人である親権者が行います。親権者が二人いる場合は、二人の署名押印が必要です。
未成年者本人の印鑑の押印は不要です。

-署名の仕方の例-

(本人住所)
(本人氏名)
(親権者住所)
親権者 父(父親氏名) 【父親印】
    母(母親氏名) 【母親印】

本人の代わりに代筆する場合の契約書の署名の仕方

本人が手を怪我しているなどの理由があって署名が出来ない場合です。本人が同席して意思表示をしていれば、問題なく代筆することが可能です。署名、押印は代筆する人が行います。

ただ、代筆に問題が全くないわけでもありません。契約者本人が後になって、自分が署名したものではないと言い出すこともありますので、もし本人が署名できるのであれば、出来る限り本人に署名してもらうようにします。やむを得ず、代筆せざるを得ない場合は、少なくとも印鑑にはついては認印ではなく、実印を使用してもらうようにした方が無難ですし、明らかに怪しい態度の場合は、第三者に契約に立ち会ってもらったり、録音、録画をしておくなど、証明できる資料を確保しておきましょう。

-署名の仕方の例-

(本人住所)
(本人氏名) 【本人印】

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