2-2 賃貸借契約の仲介手数料(仲介報酬)

賃貸借契約の仲介手数料の法的規制

手数料

賃貸借契約を締結した時、仲介業者に支払う仲介報酬については、宅建業法46条および、国土交通省の告示で上限が定められています。

『賃料の1か月分(税抜)+消費税』が、一件の賃貸借契約における仲介報酬の上限です。上限額を下回るのは仲介業者の自由ですが、上回ってしまう場合は、仮に当事者の合意があったとしても、仲介業者は超過報酬として宅建業法違反になります。

仲介業者が、賃貸人側に1社、賃借人側に1社の計2社入っている場合も、報酬額の上限は変わりません。『賃料の1か月分(税抜)+消費税』を仲介に入った2社で分けることになります。

仲介手数料は誰が支払うのか?

仲介報酬は、賃貸人または賃借人のどちら一方が全額支払っても良いですし、折半して支払っても良いですが、一般的には賃借人が全額支払うことが多くなっています。

ただし、居住用建物の賃貸借契約の場合は、仲介業者が受けられる報酬額の上限は、賃貸人、賃借人のそれぞれから『賃料の0.5カ月分(税抜)+消費税』までとされており、承諾がある場合に限って、どちらか一方から全額もらうことが出来るようになります。

実際の報酬額の計算

月額賃料(消費税抜き) 円  

仲介報酬の上限 

 ※消費税は10%で計算しています。

仲介業者が、賃貸人から広告料を受領することの可否

仲介業者が、賃借人から『1か月分(税抜)+消費税』の仲介報酬を受け取り、賃貸人から『広告料1カ月分の賃料相当額』を受け取るという話を聞きますが、これは現実的には超過報酬となっているケースが殆どです。

仲介業者が広告料を受領してもいいケースというのは相当限定されていて、例えば、一般的な媒介業務では行わない大手新聞への広告掲載等を、賃貸人からの特別な依頼に基づいて行った場合だけです。しかも、広告実費を請求することが出来るに留まりますので、賃料1か月分ピッタリの請求になるということは、まずありません。

<東京高裁の裁判例 s57.9.28>
『一般に宅建業者が土地建物の売買の媒介にあたって通常必要とされる程度の広告宣伝費用は、営業経費として報酬の範囲に含まれているものと解されるから、本件告示第6が特に容認する広告の料金とは、大手新聞への広告掲載料等報酬の範囲内で賄うことが相当でない多額の費用を要する特別の広告の料金を意味するものと解すべきであり、また、本件告示第6が依頼者の依頼によって行う場合にだけ広告の料金に相当する額の金員の受領を許したのは、宅建業者が依頼者の依頼を受けないのに一方的に多額の費用を要する広告宣伝を行い、その費用の負担を依頼者に強要することを防止しようとしたものと解されるから、特に依頼者から広告を行うことの依頼があり、その費用の負担につき事前に依頼者の承諾があった場合又はこれと同視することのできるような事後において依頼者が広告を行ったこと及びその費用の負担につき全く異議なくこれを承諾した場合に限り、広告の料金に相当する額の金員を受領することができるものと解すべきである』とされたからです。 ※この判例でいう告示第6は、現在の第7のことです。

法律的な解釈は以上のとおりですが、現実的な話としては、広告料を仲介業者に支払った方が、優先してお客(賃借人)を見つけてくれる可能性が高くなります。結局は、賃貸人次第でしょう。

国土交通省告示

第4 貸借の媒介に関する報酬の額

 宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該宅地又は建物の借賃の1月分の1.1倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.55倍に相当する金額以内とする

第9 第2から第8までの規定によらない報酬の受領の禁止

①宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関し、第2から第8までの規定によるほか、報酬を受けることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。

②省略

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