2-6 事故物件とその取り扱い

事故物件とは

賃借人またはその同居人等が、自殺殺人などの理由により貸室内で死亡してしまった場合、その部屋は事故(瑕疵)物件と呼ばれることになります。

自然死病死は、ガイドラインによると原則として事故物件に含まれないと解されていますが、死亡後、発見まで相当な時間が経過し、遺体が腐乱してしまうと、事故物件になってしまうと言われています。

また、事故死の(階段から落ちて死亡等)場合も、ガイドラインによると原則として事故物件には含まれないようです。

マンションなどの建設工事中に事故死したような場合は、ケースbyケースだと思いますが、分譲マンション等の大規模工事の場合で、心理的瑕疵が否定されている判例があります。

事故物件

自殺等があり事故物件となってしまった場合、賃貸人の対応

賃貸人の立場からしてみると、事故物件となった場合、以下の点でデメリットがありますので、必要な対処をしなければなりません。

・賃借人の相続人と契約解除、残置物処理の話をしなければならない。
・賃借人の相続人や連帯保証人と、原状回復や、損害賠償金の交渉をする必要がある。
・次に借りる人に、事故物件であることを説明する必要があるので、新たに借りてくれる人が現れ難くなる。
・賃料を安くしなければならない。

賃借人の相続人や、連帯保証人との交渉も大変ですが、新たな入居者の募集をする前に、仲介業者としっかり打ち合わせをしておく必要があります。もしも、事故物件である事実を賃借人に告知せずに、新たに貸し出してしまった場合、謝罪だけでは済まないことが一般的です。

事故物件であることを告知しなかった場合、賃借人が即日退去し、引越し費用等の損害賠償請求を起こされて大損する可能性もありますので、賃貸借契約前の告知は必ず必要となります。

告知する期間としては、ガイドラインでは入居者の死亡から概ね3年を目安にしています。

殺人の場合は、少なくとも周囲の人が覚えている間は、告知しておいた方が無難だと思います。

家賃を安くしても次の借り手が現れない場合、人の死が身近にある職業の方、例えば警察関係者や、病院関係者にセールスをかけるという手があります。心理的瑕疵なので、気にしない人は、気にしません。

賃借人からみた事故物件

賃借人(入居者)からしてみると、過去に自殺や殺人があった事故物件だとしても、性能自体に問題がある部屋ではありませんので、気にしなければそれまでです。ラップ音とか、心霊現象が起きる可能性はありますが、気にしなければそれまでです。
大体の事故物件では、家賃が通常よりも安くなりますので、逆にそういった物件を探してみるということも考えられます。

賃貸トラブル3-7『借主の自殺に掛かる損害賠償請求

 参考:宅地建物取引業者による人の死の告知に関する居住用のガイドライン | 国土交通省

 参考:事故物件公示サイト『大島てる』

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