2-1 申し込み証拠金(仮押さえ金)
申込証拠金とは?
賃貸物件を紹介してもらうために、宅建業者のお店を訪れて、幾つか気に入った物件はあったものの、念のため、他に良い物件がないか探してみたい。
そんな時、とりあえず、その部屋を押さえておくという目的で、数千円から1万円くらいの申込証拠金(名目は、予約金、仮押さえ金、手付金など様々)を支払うことがあります。
申込証拠金には、特に法律的な規定がありませんので、あくまでも当事者間の合意によって支払いが行われるものです。
申込証拠金の返却
申込証拠金を支払う時に、宅建業者から「申込みをキャンセルして、賃貸借契約が締結に至らなかった場合、申込金は没収します」との説明を受けたり、「返金には一切応じない」旨が記載された書面が交付されることもあります。
しかし、宅建業法に「契約成立前に受領した金銭については申込みのキャンセルがあった時点で返金する」旨の規定があるため、賃借人が、賃貸借契約の成立前に申込みをキャンセルした場合、賃貸人は仲介業者から全額の返金を受けることが出来ます。宅建業法は強行規定であるため、当事者間で返金しないという合意が成立していたとしても、法律の規定の方が優先されます。
なお、仮に仲介業者が賃借人から受領した申込金を賃貸人に渡してしまっていたとしても、賃借人は仲介業者に返金を請求することが出来ます。
もしも、仲介業者が色々と理由をつけて、頑なに返金してくれない場合は、免許権者(都道府県庁か、国土交通省)に助言を仰ぐことを考えてみましょう。
※賃貸借契約の締結に、仲介業者が関与せずに、賃貸人、賃借人の当事者だけでやり取りした場合は、宅建業法の規定が適用されません。そのため、当事者間の合意内容によって返金を受けられるかどうかが判断されます。