1-8 使用貸借契約の基礎知識
使用貸借契約とは
使用貸借契約とは、無料で不動産を借りる契約のことで、親子間で建物敷地を無料で貸す場合などに利用されます。
使用貸借契約は、特別法である借地借家法の適用を受けませんので、一般法である民法593条、594条、595条、596条、597条、598条、599条、600条の規定に従います。
契約期間
民法上の賃貸借契約の場合、期間の上限は50年ですが、使用貸借の場合は特に設けられていません。下限の制限もありません。また、期限を定めないことも可能です。
ただし、賃貸人の立場からすれば、賃借人が親友だろうと、親戚だろうと、いざという時の返還請求を楽にするため、契約期間を定めておいた方が無難と言えます。
契約様式
契約は必ずしも書面を必要としません。(口頭でも成立する)
ただし、口頭だけの契約の場合、時が経てば、内容があやふやなものになってしまいますので、書面化することを推奨します。
契約の終了時期
・契約期間を定めた時は、その時。(民法第597条1項)
・契約期間を定めなかった時は、契約目的が達成された時。(民法第597条2項)
・借主の死亡時。(民法第597条3項)
・契約目的の達成のために相当とされる期間が経過して、貸主から返還を要求された時。
・契約期間、契約目的を定めなかった時は、貸主はいつでも返還を請求できる。
当事者の死亡による契約の終了
貸主の死亡では終了しませんが、借主の死亡により終了します。(賃借人に相続人がいても相続されません)(民法第597条3項)
※使用貸借の終了に関する民法上の規定は任意規定のため、当事者間の合意により変更することができます。そして、特に建物所有を目的とする土地の使用借権の場合では、民法の規定と異なる当事者間の黙示の合意(建物の使用収益の必要のある限り使用貸借契約が存続する等)があったと見做されて、相続が認められるケースもあります。
原状回復義務について
借主には原状回復義務があります。(民法第599条)
使用貸借契約の特徴について
借主の権利が弱く、貸主からの更新拒絶には対抗できません。また契約内に解約条項があれば、貸主は正当事由がなくても解約出来ます。第三者対抗要件も厳しく、売買や、競売などで貸主(所有者)が変わった場合、借主は原則として対抗できません。