3-3 依頼者が直接取引(抜き行為)をした場合、宅建業者は仲介手数料を請求することが出来るのか?

直接取引

依頼者の行為が直接取引(抜き行為)に当たるかどうかは事情により異なりますが、直接取引(抜き行為)に当たるものであれば、報酬を請求することは可能であると考えられます。

標準媒介契約約款の媒介契約を締結している場合

標準媒介契約約款には「媒介契約の有効期間後2年以内に、宅建業者(不動産会社)の紹介したお客と売主が直接取引した場合、宅建業者(不動産会社)は契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬を請求できる」という内容の特約がありますので、お客さんが直接取引(抜き行為)をした場合、当該特約に基づいて、仲介手数料を請求することが出来ます。

もっとも、約定報酬額の全額をもらえるわけではなく、売買契約の成立に寄与した割合に応じて減額された報酬が認められることになります。

標準媒介契約約款の媒介契約を締結していない場合

媒介契約書を取り交わしていない場合であっても、媒介契約の成立が認められるケースがありますし、商法512条を根拠として、相当額の報酬を請求出来る可能性もあります。また、民法130条を根拠としての請求も考えられます。

ただし、媒介契約書を交付していない状態であるので、宅建業法34の2条違反になります。行政から行政処分をいただく恐れはあります。

不動産適正取引推進機構のHPへ
報酬請求が認められたもの
東京地裁H30.12.18 媒介業者を排除して直接取引にて売買契約を締結した売主に民法第130条に基づく媒介報酬の支払いが命じられた事例
東京地裁H30.11.29 媒介業者を排除して第三者のためにする契約を行った売主と買主等に対する媒介業者の賠償請求が認められた事例
岡山地裁H15.1.15 報酬上限の80%が認められた事例
東京地裁H24.11.16 契約成立に寄与した割合が5割とされた事例
東京地裁H25.7.3 媒介手数料の全額が認められた事例
東京地裁H28.8.10 媒介契約は成立しているとして請求がほぼ認容された事例
報酬請求が否定されたもの
東京高裁H30.4.16 売主が媒介契約を解除して直接取引したことに正当な理由があるとして媒介業者の報酬請求の訴えを棄却した事例
東京高裁H14.10.13 媒介業者を故意に排除したとは認められなかった事例
東京地裁H22.10.15 媒介契約の成立が認められなかった事例
東京地裁H24.12.19 媒介契約の成立が認められなかった事例

商法の規定について

民法の規定

宅建業法の規定について

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