4-9 犯罪収益移転防止法に基づく本人確認

本人確認

本人確認(取引時確認)とは?

取引時確認は、マネー・ローンダリングが行われた場合の資金の追跡を可能にする観点から、犯罪収益移転防止法に基づいて、宅建業者が特定の取引で行わなければならない義務となっています。

確認相手が個人の場合は、①本人特定事項(氏名、住居、生年月日)。②取引目的。③職業。を確認する必要があります。

確認相手が法人の場合は、①本人特定事項(名称、本店又は主たる事務所の所在地)。②事業内容。③取引を行う目的。④実質的な支配者の確認 ※株式会社等で 25%を超える議決権を直接または間接に有する者等。⑤現に特定取引の任に当たっている者(代表者、担当者、代理人等)となります。

本人確認が必要な不動産取引

宅建業者が、①宅地建物の売買の売主である時、②宅地建物の売買の買主である時、③宅地建物の売買の代理業者になる時、④宅地建物の売買の媒介業者になる時に、本人確認(取引時確認)をする必要があります。

交換、賃貸借の時には、本人確認は必要ありません。

顧客が個人の場合の本人確認(取引時確認)の方法

(1)対面取引「提示のみ法」

 ①本人の特定に必要なA群(顔写真のある証明書)の書類を提示してもらう。(運転免許証等)

 ②取引目的を相手から申告してもらう。(メール、口頭、書面等)

 ③職業を相手から申告してもらう。(メール、口頭、書面等)

(2)対面取引「提示+追加的措置法」

 ①本人の特定に必要なB群(顔写真のない証明書)の書類を提示してもらう。(健康保険証、国民年金手帳等)

 ②取引目的を相手から申告してもらう。(メール、口頭、書面等)

 ③職業を相手から申告してもらう。(メール、口頭、書面等)

 ④A群以外の、他の本人確認書類を提示してもらう。(メール、口頭、書面等)

(3)対面取引「提示+送付法」

 ①本人の特定に必要なB群またはC群(顔写真のない証明書)の書類を提示してもらう。

 ②取引目的を相手から申告してもらう。(メール、口頭、書面等)

 ③職業を相手から申告してもらう。(メール、口頭、書面等)

 ④当該書類に記載されている顧客及び代表者等の住居宛に取、引関係文書を書留郵便等の転送不要郵便物として送付する。

(4)非対面取引「受理+送付法」

 ①本人の特定に必要なA群~C群の証明書またはその写しを送付してもらう。受理した書類を確認記録に添付する。

 ②取引目的を相手から申告してもらう。(メール、口頭、書面等)

 ③職業を相手から申告してもらう。(メール、口頭、書面等)

 ④当該書類に記載されている顧客及び代表者等の住居宛に取、引関係文書を書留郵便等の転送不要郵便物として送付する。

顧客が法人の場合の本人確認(取引時確認)の方法

(1)対面取引「提示のみ法」

 ①法人の特定に必要な書類を提示してもらう。(登記事項証明書 印鑑登録証明書 官公庁発行書類 外国政府・国際機関発行書類)

 ②事業内容の確認に必要な書類を提示してもらう。(定款 ・登記事項証明書 ・法令に基づいた 作成書類 ・官公庁発行書類)

 ③取引目的を相手から申告してもらう。(メール、口頭、書面等)

 ④実質的な支配者を相手から申告してもらう。(メール、口頭、書面等)

 ⑤代表者等(代表者、担当者、代理人等)の本人特定事項の確認。※相手が個人の時の本人特定事項の確認と同様(メール、口頭、書面等)+委任状などで委任を受けているかどうか確認。

本人特定に必要な確認書類の種類

A群(顔写真付き書類)

  運転免許証、運転経歴証明書、個人番号カード、住民基本台帳カード、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、戦傷病者手帳、旅券(パスポート)、乗員手帳在留カード、特別永住者証明書官公庁発行書類(顔写真あり)、外国政府・国際機関発行書類(顔写真あり)

B群(顔写真なし書類)

  健康保険等の被保険者証、健康保険日雇特例被保険者手帳、共済組合の組合員証・加入者証国民年金手帳、児童扶養手当証書、母子健康手帳、取引に使用した印鑑に係る印鑑登録証明書

C群(顔写真なし書類)

  住民票の写し又は記載事項証明書、戸籍謄本又は抄本、官公庁発行書類(顔写真なし)、外国政府・国際機関発行書類(顔写真なし)

法人

  登記事項証明書、印鑑登録証明書、官公庁発行書類、外国政府・国際機関発行書類

 参考:宅地建物取引業における犯罪収益移転防止のためのハンドブック|国土交通省

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