4-3 売買契約締結後に当事者が死亡してしまった場合の対応について

当事者死亡

売買契約の締結後に当事者が亡くなってしまった場合、売買契約が当然に解除になるわけではありません。

相続人全員が相続放棄しない限り、売買契約の当事者の権利義務は、相続人(配偶者、子供等)に引き継がれることになります。

売主が死亡した場合の対応

売主が死亡した場合、相続人(配偶者、子供等)が、売主の権利義務を引き継ぎます。

そのため、仲介業者としては、最初に売主の相続人を確定する必要があります。その後、相続人の意向を確認します。

売主相続人に売買契約を続行する気がないのであれば、売買契約の解除に向けて話を進めていくことになりますが、手付解約が出来る時期であれば、手付金倍返しによる解約を、手付解約が既に出来ない時期であれば、手付金を返還した上で、違約金を支払うなどの内容で、買主との合意による解約を取り纏めていくことになるでしょう。

売主相続人に売買契約を続行する意向がある場合、まずは売主が死亡した時点の不動産所有権が何処にあるのかということを確認する必要があります。一般的な売買契約書では、「所有権移転時期」=「残金決済時」という特約がついていることが多いので、決済前であれば、所有権は売主にあることが多いと考えられます。

その場合、所有権移転より先に、相続が発生していることになりますので、亡き売主から買主に直接所有権移転登記をするのではなく、売主相続人への相続登記を経てから、買主へ所有権移転登記をする必要があります。そのため、遺産分割協議や相続手続きにどのくらいの時間を要するのか、司法書士や売主相続人と相談し、買主にも事情説明を行っておく必要があります。

売主が死亡し、相続人がいない場合

家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらうよう申し立てを行い、そのうえで相続財産管理人に売買代金の全額支払いと引き換えに物件の引き渡しおよび所有権移転を請求することになります。時間が掛かることに注意が必要です。

買主が死亡した場合

買主が死亡した場合、相続人(配偶者、子供等)が買主の権利義務を引き継ぎます。

そのため、仲介業者としては最初に買主の相続人を確定する必要があります。その後、相続人の意向を確認します。

買主相続人に売買契約を続行する気がないのであれば、売買契約の解除に向けて話を進めていくことになりますが、手付解約が出来る時期であれば、手付金放棄による解約を、手付解約が既に出来ない時期であれば、手付金を返還してもらい、違約金を支払うなどの内容で、合意による解約を取り纏めていくことになるでしょう。

買主相続人が、売買契約を続行する意向である場合、まずは銀行からの融資のことを考える必要があります。買主名義で融資が通っていたとしても、審査がやり直しになる必要があるからです。

また、買主が死亡した時点の不動産所有権が何処にあるのかということを確認する必要があります。一般的な売買契約書では、「所有権移転時期」=「残金決済時」という特約がついていることが多いので、決済前であれば、所有権は売主にあることが多いと考えられます。

その場合は問題ありませんが、上記のような特約が付されておらず、既に買主に所有権があると見做された場合、売主から買主相続人に対して直接移転登記は出来ず、一旦は亡き買主名義への所有権移転登記を経る必要があります。

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