4-8 宅建業者が賃貸物件の立ち退き交渉をしても良いのか?

弁護士法違反

宅建業者が行う立ち退き交渉の問題点

宅建業者(仲介業者・管理業者)が、賃貸人から依頼を受けて、賃貸物件の入居者に対して立ち退き交渉(賃貸人からの立ち退き意思を賃借人伝え、具体的な立ち退き条件を折衝する等)をする場合があります。
立ち退き交渉について、宅建業法上は問題がありませんが、弁護士法上、問題となるケースがあります。

弁護士法72条では、弁護士しか出来ない業務を規定しており、その中に「法律事務」というものがあります。そして、過去の判例では、賃借人との立ち退き交渉は「法律事務」に該当すると判断しています。
つまり、宅建業者が立ち退き交渉を行ってしまうと、弁護士法違反で逮捕されてしまう恐れがあります。賃貸人と宅建業者の間に、管理契約が締結されているか否かは問題ではありません。

弁護士法に違反するかどうかのポイントは、「法律事務」を行う上での報酬の有無、また「業」として行ったかどうかです。

報酬の有無については、宅建業者が実際に報酬を得ていなかったとしても、報酬を得る主観的な目的がありさえすれば足りるとされておりますし、また第三者からの受領もダメとされています。完全無報酬で、その後も一切、賃貸人から利益を受けないようなら、弁護士法違反の問題は生じないと思われますが、家族でもないのに、無報酬で面倒な「立ち退き交渉」を買って出る人はいないでしょう。

業として行ったかどうかについては、受託者(宅建業者)に反復継続して立ち退き交渉をやる意思があったかどうかで判断されます。反復継続の意思があると判断されれば、実際に立ち退き交渉を行ったのが1回だけだとしても、罰せられる可能性があります。

宅建業者が立ち退き交渉をしても良い場合?

前述したように完全無報酬または業として行わない場合は、一応可能です。

また、立ち退き交渉は出来ませんが、賃貸人の意思を、賃借人に伝えるだけなら構わないとされていますので、メッセンジャーだけなら可能です

不動産流通推進センターのHPへ
2008年5月掲載 賃貸アパート等の「立退き交渉」と非弁行為

弁護士法の規定

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