1-4 手付金等の保全措置の概要
『手付金等の保全措置』は、宅建業者が売主となる場合の8種規制のうちの一つで、宅建業法41条で規定されています。
宅建業者が売主、宅建業者以外が買主となる取引において、一定額以上の手付金等の授受がある場合に、売主である宅建業者は原則として手付金等の保全措置を講じる必要があります。
手付金等とは、「手付金」、「中間金」、「内金」など、売買契約の締結日以後、物件の引き渡しまでに支払われる金銭全てを指します。
なお、売主が宅建業者であっても、買主も宅建業者である場合に関しては、宅建業法78条の規定により、手付保全を講じる必要はありません。
業者の役立ちメモ 1-1『宅建業者売主の8種規制』
未完成物件の場合の手付保全
未完成物件の売買において、手付金等が売買代金(消費税込)の5%を超える場合、または1,000万円を超えるかのいずれかの場合、売主である宅建業者は、買主に所有権移転登記しない限り、受領した手付金等の全額について保全措置を講じなければなりません。(宅建業法41条)
また、保全措置を講じた場合でも、手付金については売買代金(消費税込)の20%までしか受領出来ません。(宅建業法39条)
完成物件の場合の手付保全
完成物件の売買において、手付金等が売買代金(消費税込)の10%を超える場合、または1,000万円を超えるかのいずれかの場合、売主である宅建業者は、買主に所有権移転登記しない限り、受領した手付金等の全額について保全措置を講じなければなりません。(宅建業法41条の2)
また、保全措置を講じた場合でも、手付金については売買代金(消費税込)の20%までしか受領出来ません。(宅建業法39条)
中間金についての手付保全
中間金については、宅建業法39条による売買代金の20%までという制限がないので、保全措置を取った場合、好きなだけ受領することが可能です。
ただし、未完成物件なら、手付金と併せて5%を超える時、完成物件なら、手付金と併せて10%を超える時に、それまで受け取った手付金も併せて保全措置を講じる必要があります。
手付保全の種類
(1)工事完了前の宅地または建物の売買の場合
手付金等の保全措置としては「銀行等による保証」と「保険事業者による保証保険」の2種類の措置のうち、どちらか一つを講じればOKです。
(2)工事完了後の宅地または建物の売買の場合
手付金等の保全措置としては「銀行等による保証」と「保険事業者による保証保険」と「指定保管機関(宅建保証協会等)による保管」の3種類の措置のうち、どれか一つを講じればOKです。