1-3 民法改正で、修繕義務がどのように変わるのか?

民法改正により、賃貸人の修繕義務、賃借人の修繕権利が変わります。

賃貸人の修繕義務(改正民法606条1項

賃貸物の使用収益に必要な修繕については、賃貸人の義務です。これは旧民法でも改正民法でも変わりません。

改正民法での変更点は、使用収益出来なくなった責任が賃借人にある場合、賃貸人が修繕しなくても良いことが追記されたことです。実務上、今までもそうなっていましたが、法令に明記された形です。

賃借人の修繕の権利(改正民法607条の2

改正民法で、賃借人が賃貸物を修繕出来る権利が追加されました。

賃借人が自分で修繕出来る場合は、次の二つの場合です。

 ①賃借人が賃貸人に対して賃貸物の修繕が必要であることを伝えるか、賃貸人が修繕の必要性を知ったにもかかわらず、相当期間内に必要な修繕をしない時。

 ②急迫の事情がある時。

修繕に要した費用について、改正民法608条に基づき、賃借人は、賃貸人に請求することが出来ます。(改正民法608条

当事者間の合意について

民法606条、607条、608条は任意規定と言われています。そのため、当事者間の合意があれば、一応は合意の方が優先するのですが、一方的に借主が不利になる特約をした場合、民法の公序良俗違反や、消費者契約法、借地借家法の類推適用を根拠として特約が無効になる場合もあります。

改正 民法の規定

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