4-1 重要土地調査法

2021年(令和3年)6月23日、重要土地調査法『重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び規制等に関する法律』が成立しました。これにより指定された区域の不動産売買取引には届出が必要になります。2022年(令和4年)9月20日に全面施行。

原発

法律の概要

法律に基づき指定された区域のうち「特別注視区域」について、不動産の売買・贈与・交換等する場合、国への届け出が必要になります。

注視区域(重要土地調査法 第5条1項

重要施設の敷地の周囲おおむね1,000メートルの区域内及び国境離島等の区域内の区域で、その区域内にある土地等(土地及び建物)が機能阻害行為(重要施設や国境離島等の機能を阻害する行為)の用に供されることを特に防止する必要があるものを、注視区域として指定することができます。

特別注視区域(重要土地調査法 第12条1項

注視区域に係る重要施設が特定重要施設である場合又は注視区域に係る国境離島等が特定国境離島等である場合には、当該注視区域を特別注視区域として指定することができます。

特定重要施設とは

特定重要施設とは、重要施設のうち、その機能が特に重要なもの又はその機能を阻害することが容易なものであって、他の重要施設によるその施設機能の代替が困難なものをいいます。 このうち、防衛関係施設であって、指揮中枢機能又は司令部機能を有する施設、警戒監視・情報機能を有する施設、防空機能を有する施設及び離島に所在する施設から選定し、その周囲を指定します。

特定国境離島等とは

特定国境離島等とは、国境離島等のうち、その離島機能が特に重要なもの又はその離島機能を阻害することが容易なものであって、他の国境離島等によるその離島機能の代替が困難なものをいいます。  我が国が現に保全・管理を行っている国境離島のうち、原則として、国及び地方公共団体以外の者が所有する土地が所在する無人のものについて、その全域を指定します。

届出が必要(重要土地調査法 第13条

特別注視区域内にある一定面積(土地は200㎡、建物は床面積の合計が200㎡)以上の土地及び建物に関する所有権又はその取得を目的とする権利の移転又は設定をする契約(売買、贈与、交換、予約完結権、買戻権の譲渡、その予約も含む)を締結する場合には、契約の当事者(売主及び買主の双方)は、法令に定められた事項を内閣総理大臣に届け出る必要があります(法第13条第1項及び第3項)。
相続、遺産分割、法人の合併、確定判決、予約完結権、買戻権の行使等の契約に基づかない所有権の移転等については、届出の対象外です。また、地上権、永小作権、地役権、先取特権、不動産質権、抵当権、賃借権等の移転等については、届出の対象外です。

重要施設とは(重要土地調査法 第2条

重要施設とは、防衛関係施設、海上保安庁の施設、生活関連施設をいいます。

防衛関係施設とは

防衛関係施設とは、自衛隊の施設や、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第2条第1項の施設及び区域をいいます。
このうち、我が国を防衛するための基盤としての機能を有する、部隊等の活動拠点となる施設、部隊等の機能支援を行う施設、装備品の研究開発等を行う施設及び我が国の防衛に直接関連する研究を行う施設から選定し、その周囲を指定します。

海上保安庁の施設とは

 海上保安庁の施設とは、領海警備に関連する海上における船舶の航行の秩序を維持する機能を有する施設をいいます。
このうち、管轄する海域をめぐる情勢が緊迫していると認められるものから選定し、その周囲を指定します。

生活関連施設とは

生活関連施設とは、国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので政令で定めるものとして、原子力関係施設及び空港を定めております。
原子力関係施設については、製錬施設、加工施設、発電用原子炉施設、使用済燃料貯蔵施設、再処理施設、廃棄物埋設施設及び廃棄物管理施設から選定し、その周囲を指定します。 空港については、自衛隊の施設が隣接し、かつ自衛隊も使用する施設から選定し、その周囲を指定します。

国境離島等とは(重要土地調査法 第2条

国境離島とこれ以外の有人国境離島地域離島をいいます。原則として、国及び地方公共団体以外の者が所有する土地が所在する次のものを対象とします。

国境離島とは

国境離島については、領海等の海域の限界を画する基礎となる基線(以下「領海基線」という。)の周辺並びに領海警備等の活動拠点となる行政機関の官署及び当該行政機関の船舶が使用する係留施設(岸壁等)の周辺を指定します。また、無人のものについては、原則として、その全域を指定します。

有人国境離島地域離島とは

国境離島以外の有人国境離島地域離島(自然的経済的社会的観点から一体をなすと認められる複数の離島で構成される地域であって、その地域内に領海基線を有する離島が存在し、その地域内に現に日本国民が居住する離島で構成される地域をいいます。)については、領海警備等の活動拠点となる行政機関の官署及び当該行政機関の船舶が使用する係留施設(岸壁等)の周辺を指定します。

 参考:FAQ(よくある質問)|内閣府

重要土地調査法の規定

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