7-9 賃貸物件で害獣(ネズミ)が発生

Q【賃借人】

賃貸店舗を借りました。

入居後、すぐにネズミが出没するようになり、大家さんに苦情を入れましたが、大家さんは何もしてくれません。

家賃を減額してもらったり、賃貸物件から退去して、その損害を大家さんに請求することが出来るでしょうか?

ねずみ
A

ネズミを駆除するのは、賃貸人、賃借人のどちらの責任か?

ネズミの出没の原因が、建物の構造上の欠陥にあるということであれば、賃貸人の方で対策・修繕をする必要があります。ネズミだけでなく、その他の害獣についても考え方は同じです。

賃借人が食堂等を営んでおり、建物の構造に関係なく、ネズミやゴキブリ等が侵入するのであれば、それは賃借人負担で対策を講じるべきだと言えます。その他の害獣についても考え方は同じです。

賃貸人や、媒介業者に説明責任はあるか?

賃貸借契約締結前に、賃貸人もしくは媒介業者がネズミの被害があることを知っていた場合は、告知義務、もしくは対処してから引き渡す義務があると考えられます。(程度の問題はあります)

賃借人はどうすべきか?

裁判例では、賃貸人の債務不履行を理由に賃貸借契約を解除して損害賠償を請求したが認められなかったケース。一方的に家賃減額をして、逆に建物の明け渡し請求を受けたケースなどがありますので、思い込みで行動するのは止めた方が良いでしょう。

まずは原因が何処にあるのか調査し、ネズミの発生原因が建物の構造上の欠陥にあるのであれば、賃貸人に通知して修繕を求めることになります。構造上の欠陥であることが証明出来ないようであれば、自身で駆除する費用を出すしかありません。

また、第三者的な要因、例えば近所にゴミ屋敷があることが原因でネズミが発生しているのであれば、それが同じ賃貸物件内の貸室であれば、賃貸人に対処を求めることになりますし、賃貸人に全く関係のない他者のゴミ屋敷であれば、行政に相談をしてみるしかありません。

第三者的な要因が原因としてある場合は、解決までが長引く可能性があります。

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東京地裁R3.1.26 ねずみ被害を理由に退去した賃借人の賃貸人に対する損害賠償請求が棄却された事例
東京地裁H26.2.20 漏水の瑕疵及び害獣が存在するとした中古建物の買主からの契約解除並びに損害賠償請求が棄却された事例
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